膵頭部癌術後の消化吸収障害に対する高力価・腸溶性膵消化酵素剤投与の有用性についての検討

膵頭部癌の膵頭十二指腸切除術後消化吸収障害に対する,腸溶性高力価膵消化酵素剤パンクレリパーゼの有効性を,従来の膵消化酵素剤から本剤に切り替えた7症例で評価した.消化吸収障害は下痢の程度,体重の増減,日常生活の活動性,消化不良の症状を織り交ぜWong-Bakerのフェイススケールにあわせて,0から5までのGrade分類を新たに作成して評価した.1例で重度の下痢がみられ投与中止した.他の6例では腸溶性パンクレリパーゼへの変更によって,5例で体重増加がみられ,4例で止痢剤減量を要した.消化吸収障害Gradeは,体重増加のなかった症例,止痢剤減量ができなかった症例も含め6例全例で0または1にまで改善し...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in膵臓 Vol. 28; no. 2; pp. 178 - 184
Main Authors 二宮, 致, 田島, 秀浩, 中沼, 伸一, 高村, 博之, 林, 泰寛, 萱原, 正都, 伏田, 幸夫, 牧野, 勇, 北川, 裕久, 中川原, 寿俊, 太田, 哲生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2013
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.28.178

Cover

More Information
Summary:膵頭部癌の膵頭十二指腸切除術後消化吸収障害に対する,腸溶性高力価膵消化酵素剤パンクレリパーゼの有効性を,従来の膵消化酵素剤から本剤に切り替えた7症例で評価した.消化吸収障害は下痢の程度,体重の増減,日常生活の活動性,消化不良の症状を織り交ぜWong-Bakerのフェイススケールにあわせて,0から5までのGrade分類を新たに作成して評価した.1例で重度の下痢がみられ投与中止した.他の6例では腸溶性パンクレリパーゼへの変更によって,5例で体重増加がみられ,4例で止痢剤減量を要した.消化吸収障害Gradeは,体重増加のなかった症例,止痢剤減量ができなかった症例も含め6例全例で0または1にまで改善していた.膵頭部癌術後の消化吸収障害の改善に,腸溶性パンクレリパーゼの投与は,有用であることが示唆された.また,今回考案した臨床に即したGrade分類は,消化吸収障害の評価に有用であった.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.28.178