ベジタリアンに発症した両側声帯麻痺の1例

「はじめに」声帯麻痺は, 甲状腺腫瘍や胸部腫瘍などの腫瘍性, 頸胸部の術後性, また挿管によるものが多いが, 種々の検査を行っても原因が特定できない特発性の症例もしばしば経験する. 特に, 両側声帯麻痺では呼吸困難を伴う上気道緊急状態で救急搬送され, 救急外来において, 原因を特定できないまま気道確保を先行せざるを得ない. このような症例では, 原因不明のままのことが多い. たとえ治癒に至った場合でも気管孔閉鎖の時期について疑問が残る. 今回, 我々は初診時原因不明であった両側声帯麻痺症例で, 緊急気道確保の後の詳細な問診により, 発症の一因が推測され, 治癒に至った一例を経験したため, 文献...

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Published in喉頭 Vol. 29; no. 1; pp. 14 - 16
Main Authors 小山, 新一郎, 江崎, 伸一, 濱島, 有喜, 石田, 愛, 村上, 信五, 永井, 世里
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 01.06.2017
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ISSN0915-6127
2185-4696
DOI10.5426/larynx.29.14

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Summary:「はじめに」声帯麻痺は, 甲状腺腫瘍や胸部腫瘍などの腫瘍性, 頸胸部の術後性, また挿管によるものが多いが, 種々の検査を行っても原因が特定できない特発性の症例もしばしば経験する. 特に, 両側声帯麻痺では呼吸困難を伴う上気道緊急状態で救急搬送され, 救急外来において, 原因を特定できないまま気道確保を先行せざるを得ない. このような症例では, 原因不明のままのことが多い. たとえ治癒に至った場合でも気管孔閉鎖の時期について疑問が残る. 今回, 我々は初診時原因不明であった両側声帯麻痺症例で, 緊急気道確保の後の詳細な問診により, 発症の一因が推測され, 治癒に至った一例を経験したため, 文献的考察を踏まえて報告する. 「症例」65歳男性「主訴」: 呼吸苦「既往歴」: 特になし「家族歴」: 特になし「現病歴」: 2, 3日前から嗄声を認め, 就寝後に呼吸苦が出現し救急要請をした. 「身体所見」: 体温36.9度, SpO2 97% 血圧124/64mmHg著明な上気道狭窄音を聴取した.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx.29.14