重症急性膵炎を契機に発見された膵神経内分泌腫瘍の1例

症例は64歳,女性.重症急性膵炎を発症したため,緊急入院となった.膵鉤部に20mm大の嚢胞を伴う多血性腫瘤を認めた.EUS-FNAにより膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumor:pNET)と診断し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.2017年WHO分類ではNET G2,ENETS TNM分類によるステージはT2N0M0 Stage IIaだった.主膵管は腫瘍により圧排されていたが,明らかな浸潤は認めなかった.pNETにおいて急性膵炎の併発は稀とされている.しかし,腫瘍が主膵管近傍を占拠している症例では,急性膵炎を併発し致死的経過をたどる可能性がある...

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Published in膵臓 Vol. 36; no. 1; pp. 104 - 111
Main Authors 葛西, 豊高, 川辺, 晃一, 江藤, 宏幸, 荻野, 太郎, 村松, 誠司, 中原, 守康, 宮原, 庸介, 石川, 文彦, 新田, 宙, 藤田, 昌久, 釜田, 茂幸, 伊藤, 博, 新井, 基展, 谷坂, 優樹, 水出, 雅文, 良沢, 昭銘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 28.02.2021
日本膵臓学会
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Summary:症例は64歳,女性.重症急性膵炎を発症したため,緊急入院となった.膵鉤部に20mm大の嚢胞を伴う多血性腫瘤を認めた.EUS-FNAにより膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumor:pNET)と診断し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.2017年WHO分類ではNET G2,ENETS TNM分類によるステージはT2N0M0 Stage IIaだった.主膵管は腫瘍により圧排されていたが,明らかな浸潤は認めなかった.pNETにおいて急性膵炎の併発は稀とされている.しかし,腫瘍が主膵管近傍を占拠している症例では,急性膵炎を併発し致死的経過をたどる可能性があるため,注意を要すると考えられた.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.36.104