エタノール含有ゲル型擦式手指消毒剤の臨床現場における手指消毒効果の検討

[緒言] 医療従事者を介した交差感染の危険性を減らすことは, 医療機関における院内感染を防止するうえで最も重要である. 特に手指を介した交差感染を防止するための患者および医療従事者の手洗いや手指消毒は, 院内感染対策の基本となっている1). その手指消毒には, アルコール含有擦式手指消毒剤(ラビング剤)によるラビング法(擦式法)が, 2002年10月に公表された米国CDCの「医療施設における手指衛生のためのCDCガイドライン」で推奨されている2). また, ラビング剤の殺菌力に関する報告も多数あり3-9), 現在ではラビング剤が手指消毒剤の主流となっている. ラビング剤の多くはリキッドタイプ製...

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Published in医療薬学 Vol. 33; no. 1; pp. 30 - 35
Main Authors 小林, 仁, 関根, 祐介, 小谷野, 実香, 長谷川, 知子, 明石, 貴雄, 宮松, 洋信, 菅野, 芳雄, 笹津, 備規, 橋本, 美希, 野口, 雅久, 阿部, 満子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2007
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.33.30

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Summary:[緒言] 医療従事者を介した交差感染の危険性を減らすことは, 医療機関における院内感染を防止するうえで最も重要である. 特に手指を介した交差感染を防止するための患者および医療従事者の手洗いや手指消毒は, 院内感染対策の基本となっている1). その手指消毒には, アルコール含有擦式手指消毒剤(ラビング剤)によるラビング法(擦式法)が, 2002年10月に公表された米国CDCの「医療施設における手指衛生のためのCDCガイドライン」で推奨されている2). また, ラビング剤の殺菌力に関する報告も多数あり3-9), 現在ではラビング剤が手指消毒剤の主流となっている. ラビング剤の多くはリキッドタイプ製剤(以下, リキッド剤と略す)であるが, 液垂れや薬液の飛散が多く周囲を汚したり, 使用者が吸入する危険性などの問題がある. 最近では, それらの欠点を克服したゲルタイプ製剤(以下, ゲル剤と略す)も使用されている. 一方, Kramerらがゲル剤の殺菌効果の低さを報告し10), また茅野らもゲル剤の殺菌効果がリキッド剤よりも若干劣ると報告している11). しかし, いずれの報告も詳細な臨床的データではない. われわれは, より臨床に即したゲル剤の殺菌効果を評価する目的で, 実際の医療現場においてゲル剤とリキッド剤の比較検討を行った.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.33.30