カルプロテクチンの歯周病病態における多様な役割と歯周病診断マーカーとしての可能性
「はじめに」歯周病は, 歯周病原細菌の感染により生じる慢性炎症性疾患である. 歯周病では, 歯垢や歯石中の歯周病原細菌の持続的な刺激により, 歯周組織の細胞や浸潤した炎症性細胞において免疫応答が生じ, 炎症反応を介して歯周組織破壊を来す. この過程において, 炎症性サイトカイン, ケモカインやその他の炎症関連タンパク質などが様々な役割を果たし, 歯周病の病態形成に関与している. カルプロテクチンは, カルシウム結合タンパク質であるS100A8とS100A9のヘテロ複合体からなる炎症関連タンパク質であり, 主に好中球の細胞質ゾルに局在し, 単球/マクロファージや上皮細胞においてもその発現が認めら...
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Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 62; no. 4; pp. 193 - 199 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
28.12.2020
日本歯周病学会 |
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Summary: | 「はじめに」歯周病は, 歯周病原細菌の感染により生じる慢性炎症性疾患である. 歯周病では, 歯垢や歯石中の歯周病原細菌の持続的な刺激により, 歯周組織の細胞や浸潤した炎症性細胞において免疫応答が生じ, 炎症反応を介して歯周組織破壊を来す. この過程において, 炎症性サイトカイン, ケモカインやその他の炎症関連タンパク質などが様々な役割を果たし, 歯周病の病態形成に関与している. カルプロテクチンは, カルシウム結合タンパク質であるS100A8とS100A9のヘテロ複合体からなる炎症関連タンパク質であり, 主に好中球の細胞質ゾルに局在し, 単球/マクロファージや上皮細胞においてもその発現が認められる. |
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ISSN: | 0385-0110 1880-408X |
DOI: | 10.2329/perio.62.193 |