食道閉鎖症根治術・腹部食道バンディング解除術を施行した18トリソミーの1例
症例は在胎30週で18トリソミーと診断され,在胎32週体重1,013 gで出生した女児.出生前の病状説明により保温,補液,酸素投与,栄養投与などの標準的治療のみを行う方針であったが,呼吸困難症状に対して,両親が人工呼吸管理を希望し次第に積極的治療へ方針変更となった.C型食道閉鎖症に対し生後6日目に胃瘻造設術・腹部食道バンディングを施行.生後1か月時に動脈管閉鎖術を施行,生後6か月時に気管切開術を施行し,生後10か月時に退院となった.その後,上部食道の唾液吸引が困難となり,1歳10か月時に食道閉鎖症根治術・腹部食道バンディング解除術を施行.術後,食道吻合部狭窄拡張術を要したが経口摂取が多少可能と...
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Published in | 日本小児外科学会雑誌 Vol. 55; no. 4; pp. 823 - 827 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
20.06.2019
日本小児外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0288-609X 2187-4247 |
DOI | 10.11164/jjsps.55.4_823 |
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Summary: | 症例は在胎30週で18トリソミーと診断され,在胎32週体重1,013 gで出生した女児.出生前の病状説明により保温,補液,酸素投与,栄養投与などの標準的治療のみを行う方針であったが,呼吸困難症状に対して,両親が人工呼吸管理を希望し次第に積極的治療へ方針変更となった.C型食道閉鎖症に対し生後6日目に胃瘻造設術・腹部食道バンディングを施行.生後1か月時に動脈管閉鎖術を施行,生後6か月時に気管切開術を施行し,生後10か月時に退院となった.その後,上部食道の唾液吸引が困難となり,1歳10か月時に食道閉鎖症根治術・腹部食道バンディング解除術を施行.術後,食道吻合部狭窄拡張術を要したが経口摂取が多少可能となり少しずつ成長発達が得られている.重篤な疾患を持つ新生児の治療方針決定には医療者と家族の話し合いが必須であるが,本患者において,食道閉鎖症根治術に引き続いてバンディングを解除して行うというほとんど前例のない治療という難しさがあった.貴重な経験と思われ,ここに報告する. |
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ISSN: | 0288-609X 2187-4247 |
DOI: | 10.11164/jjsps.55.4_823 |