ガムエラスティックブジー使用下気管切開チューブ挿入時に気管膜様部裂創に至った症例

89歳,女性.口腔癌に対し全身麻酔下に切除術が予定された.気管挿管後,気管切開を施行し,気切孔よりガムエラスティックブジー(GEB)に沿ってスパイラルチューブを挿入した.両者とも抵抗なく挿入できたが,ETCO2は検出されなかった.気管支鏡で確認したところ,気管膜様部裂創を認めた.直ちに右片肺挿管とし,次いで左片肺挿管にした後に,開胸による気管修復術が施行された.この間,SpO2は100%を維持でき,循環動態も安定していた.術後は挿管のまま集中治療室へ入室,術後5日目に人工呼吸器から離脱,7日目にICU退室となった.気管切開手技のチューブ挿入時のGEBのルーチン使用を見直し,症例ごとの必要性など...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 37; no. 2; pp. 156 - 161
Main Authors 内藤, 真由, 伊加, 真士, 黒江, 泰利, 清水, 一好, 武田, 吉正, 森松, 博史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.03.2017
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Summary:89歳,女性.口腔癌に対し全身麻酔下に切除術が予定された.気管挿管後,気管切開を施行し,気切孔よりガムエラスティックブジー(GEB)に沿ってスパイラルチューブを挿入した.両者とも抵抗なく挿入できたが,ETCO2は検出されなかった.気管支鏡で確認したところ,気管膜様部裂創を認めた.直ちに右片肺挿管とし,次いで左片肺挿管にした後に,開胸による気管修復術が施行された.この間,SpO2は100%を維持でき,循環動態も安定していた.術後は挿管のまま集中治療室へ入室,術後5日目に人工呼吸器から離脱,7日目にICU退室となった.気管切開手技のチューブ挿入時のGEBのルーチン使用を見直し,症例ごとの必要性などを術者と検討するべきである.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.37.156