健常者におけるC反応の出現様式に関する研究

末梢神経刺激により誘発される複合筋活動電位には, 直接的遠心性活動電位のM波(muscle wave), Ia群求心性線維を介した単シナプス性脊髄反射と考えられているH波(Hoffmann reflex)が知られていたが, さらにそれらに続く長潜時反応が存在することがUptonらにより報告された. Conradらはこの電位を, 大脳皮質を経由して反射性に出現する電位(transcortical reflex)と提唱したことからC反応と呼ばれるようになったが, 皮質反射説以外に脊髄反射説も唱えられ, いまだに出現経路は明らかではない. また, 波形の潜時に対する考察はいまだ十分とは言えず, 基本...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 1; pp. 43 - 48
Main Authors 伊藤, 博元, 青木, 孝文, 白井, 康正, 江川, 慶長
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2002
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ISSN1345-4676
1347-3409
DOI10.1272/jnms.69.43

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Summary:末梢神経刺激により誘発される複合筋活動電位には, 直接的遠心性活動電位のM波(muscle wave), Ia群求心性線維を介した単シナプス性脊髄反射と考えられているH波(Hoffmann reflex)が知られていたが, さらにそれらに続く長潜時反応が存在することがUptonらにより報告された. Conradらはこの電位を, 大脳皮質を経由して反射性に出現する電位(transcortical reflex)と提唱したことからC反応と呼ばれるようになったが, 皮質反射説以外に脊髄反射説も唱えられ, いまだに出現経路は明らかではない. また, 波形の潜時に対する考察はいまだ十分とは言えず, 基本的な出現様式の詳細も不明である. 脊髄前角細胞から末梢の運動系路を評価するのにM波, H波は有力な検討項目であるが, 運動系においては大脳から脊髄に投射する経路の評価も今後の運動機能障害の病態把握には必須の項目になると考えられる. その意味においてC反応の基本的性質を充分に解明しておくことは重要なことと考えられるため, 本研究では基本的性質が不明のままであったC反応を, 加算平均法を応用した手法で波形の形状分析から明らかにすることを主目的とした.
ISSN:1345-4676
1347-3409
DOI:10.1272/jnms.69.43