悪性中皮腫との鑑別に苦慮した骨外性骨肉腫の1例

背景.骨外性骨肉腫は胸郭内に転移することがあるが,骨軟骨成分を含む悪性中皮腫との鑑別が困難である.症例.84歳男性.咳嗽を主訴に近医を受診し,胸部X線写真で左胸水貯留が認められた.当院へ紹介となり,胸部CTで左胸水貯留に加え左右胸膜に石灰化を伴う不整肥厚,両側肺内と右後腹膜に石灰化を伴う腫瘤性病変を認めた.胸水ドレナージと胸水細胞診,左胸膜生検目的で局所麻酔下胸腔鏡検査を行い,壁側胸膜に多発する5 mm大の白色で表面平滑な結節を2個採取した.診断のため種々の免疫組織化学染色を含む検索を行ったが,病理標本のみでは骨軟骨成分を含む悪性中皮腫と骨外性骨肉腫の明確な鑑別はできなかった.結論.骨軟骨成分...

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Published in気管支学 Vol. 41; no. 6; pp. 608 - 612
Main Authors 林, 伸充, 井上, 真理, 佐伯, 典之, 加藤, 洋, 榎本, 達治, 成田, 篤哉, 栗林, 英彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.11.2019
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.41.6_608

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Summary:背景.骨外性骨肉腫は胸郭内に転移することがあるが,骨軟骨成分を含む悪性中皮腫との鑑別が困難である.症例.84歳男性.咳嗽を主訴に近医を受診し,胸部X線写真で左胸水貯留が認められた.当院へ紹介となり,胸部CTで左胸水貯留に加え左右胸膜に石灰化を伴う不整肥厚,両側肺内と右後腹膜に石灰化を伴う腫瘤性病変を認めた.胸水ドレナージと胸水細胞診,左胸膜生検目的で局所麻酔下胸腔鏡検査を行い,壁側胸膜に多発する5 mm大の白色で表面平滑な結節を2個採取した.診断のため種々の免疫組織化学染色を含む検索を行ったが,病理標本のみでは骨軟骨成分を含む悪性中皮腫と骨外性骨肉腫の明確な鑑別はできなかった.結論.骨軟骨成分を含む悪性胸膜中皮腫と骨外性骨肉腫に伴う肺胸膜病変との鑑別は病理所見のみでは困難であり,臨床経過と合わせて診断する必要がある.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.41.6_608