創傷被覆保護材を用いて臍帯を上皮化しcomponents separation techniqueにて腹壁閉鎖を行った巨大臍帯ヘルニアの1 例

症例は巨大臍帯ヘルニアの日齢0 の女児.在胎37 週5 日,体重2,612 g で出生.ヘルニア門は約6×6 cm で脱出臓器は肝臓と腸管であった.一期的閉鎖は不可能と判断し,ヘルニア囊にAquacel®Ag を貼付し,臍帯周囲の皮膚にAlexis® Wound Retractor S を縫着してサイロを形成した.日齢7 にサイロを除去し,Aquacel®Ag とTegadermTM でヘルニア囊を覆い1 週間ごとに交換した.臍帯は順調に上皮化して生後3 か月で完全に上皮化し,生後7 か月時に腹壁閉鎖術を施行した.ヘルニア門は約7×7 cm,脱出臓器は肝臓と腸管で腹腔内の癒着は認めなかった.C...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 52; no. 4; pp. 970 - 976
Main Authors 梅田, 朋子, 久保田, 良浩, 加藤, 久尚, 坂井, 幸子, 清水, 智治, 森, 毅, 谷, 眞至
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.06.2016
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.52.4_970

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Summary:症例は巨大臍帯ヘルニアの日齢0 の女児.在胎37 週5 日,体重2,612 g で出生.ヘルニア門は約6×6 cm で脱出臓器は肝臓と腸管であった.一期的閉鎖は不可能と判断し,ヘルニア囊にAquacel®Ag を貼付し,臍帯周囲の皮膚にAlexis® Wound Retractor S を縫着してサイロを形成した.日齢7 にサイロを除去し,Aquacel®Ag とTegadermTM でヘルニア囊を覆い1 週間ごとに交換した.臍帯は順調に上皮化して生後3 か月で完全に上皮化し,生後7 か月時に腹壁閉鎖術を施行した.ヘルニア門は約7×7 cm,脱出臓器は肝臓と腸管で腹腔内の癒着は認めなかった.Components separation technique にて筋膜を緊張なく縫合閉鎖でき,術後の呼吸・循環動態は安定していた.本法は全身状態に影響を与えずに臍帯を上皮化して待機的に腹壁閉鎖が可能であり,巨大臍帯ヘルニアに対して有用な治療法と考えられた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.52.4_970