高齢化社会における新しいタイプの誤嚥とその対処―オムツパッド用高分子ポリマー

症例.54歳の認知症のある女性が,施設入所中に自分の身に付けていたオムツパッドを破いて内部の高分子ポリマーを口の中に入れて,呼吸困難となっている状態で発見され,救急搬送となった.胸部単純CTで気管,右主気管支に異物を認めた.気管挿管を施行し,気管支鏡を用いて異物除去を施行した.オムツパッドに含まれる高分子ポリマーは水分を含んで膨張して,粘度を増すことが知られており,気管支鏡による吸引除去では,吸引口が閉塞する可能性があると考えられた.生検鉗子にて除去を試みたがゲル状であるため崩れてしまい,把持困難であった.気管支鏡の先端から鉗子を出して気管支吸引用カテーテルを把持した状態で,挿管チューブ内に挿...

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Published in気管支学 Vol. 41; no. 2; pp. 139 - 143
Main Authors 糸魚川, 英之, 島, 浩一郎, 米田, 一樹, 八田, 貴広, 佐藤, 健太, 小林, 弘典, 篠原, 由佳, 森, 美緒, 山本, 雅史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.03.2019
日本呼吸器内視鏡学会
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Summary:症例.54歳の認知症のある女性が,施設入所中に自分の身に付けていたオムツパッドを破いて内部の高分子ポリマーを口の中に入れて,呼吸困難となっている状態で発見され,救急搬送となった.胸部単純CTで気管,右主気管支に異物を認めた.気管挿管を施行し,気管支鏡を用いて異物除去を施行した.オムツパッドに含まれる高分子ポリマーは水分を含んで膨張して,粘度を増すことが知られており,気管支鏡による吸引除去では,吸引口が閉塞する可能性があると考えられた.生検鉗子にて除去を試みたがゲル状であるため崩れてしまい,把持困難であった.気管支鏡の先端から鉗子を出して気管支吸引用カテーテルを把持した状態で,挿管チューブ内に挿入し,気管,右主気管支,右上葉の異物を吸引,除去することができた.結論.高分子ポリマーによる気管支内異物の報告,および気管支吸引用カテーテルを気管支鏡を用いて気道内に誘導することによって除去し得た例は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.41.2_139