腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術後7年で発見された,右水腎症を伴った巨大Seromaの一例

76歳男性に生じた径55 mmの腹部大動脈瘤に対しY字型人工血管(ゼルソフト)による腹部大動脈瘤置換術を施行した。術後経過は順調であり,術後5年目の腹部CT検査で特に異常を認めなかったが,その後当科を受診しなくなった。術後7年8カ月時に他院での腹部CT検査によって巨大な人工血管周囲Seromaと右水腎症を認められて当科に紹介された。人工血管の再置換(トリプレックス)を施行し,術後Seromaは消失して右水腎症も軽快した。切除した人工血管の構造に破綻はなかったが,全長にわたって血管壁の組織化がほとんど見られなかった。人工血管移植後数年に及ぶ遠隔期でのSeroma発生は他にもわずかながら報告があり...

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Published in聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 47; no. 2; pp. 79 - 83
Main Author 小林, 城太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会 2019
聖マリアンナ医科大学医学会
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ISSN0387-2289
2189-0285
DOI10.14963/stmari.47.79

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Summary:76歳男性に生じた径55 mmの腹部大動脈瘤に対しY字型人工血管(ゼルソフト)による腹部大動脈瘤置換術を施行した。術後経過は順調であり,術後5年目の腹部CT検査で特に異常を認めなかったが,その後当科を受診しなくなった。術後7年8カ月時に他院での腹部CT検査によって巨大な人工血管周囲Seromaと右水腎症を認められて当科に紹介された。人工血管の再置換(トリプレックス)を施行し,術後Seromaは消失して右水腎症も軽快した。切除した人工血管の構造に破綻はなかったが,全長にわたって血管壁の組織化がほとんど見られなかった。人工血管移植後数年に及ぶ遠隔期でのSeroma発生は他にもわずかながら報告があり,術後の経過観察を長期にわたって継続することが重要だと考えられた。
ISSN:0387-2289
2189-0285
DOI:10.14963/stmari.47.79