VV-ECMOにアドレナリン気道内散布を併用した喘息重積発作の1例

はじめに.人工呼吸器では管理困難な重症喘息発作の症例を経験したので報告する.症例.54歳男性.病歴.気管支喘息に対して発作時にβ刺激薬の吸入を頓用していた.突然の呼吸困難で救急要請となった.経過.来院時に喘息発作の診断で人工呼吸器管理としアドレナリン筋注の反復とステロイド全身投与を行ったが,持続する換気不全,呼吸性アシドーシスの進行がありextracorporeal membrane oxygenation(ECMO)を導入した.入院翌日に気道内にアドレナリンを散布しその際に気管支平滑筋攣縮の改善を認めた.その後は徐々に喘息発作が収束していき呼吸状態が改善した.計63時間でECMOを離脱,翌日...

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Published in気管支学 Vol. 41; no. 6; pp. 619 - 623
Main Authors 渡辺, 雅之, 山本, 咲, 鈴木, 銀河, 一林, 亮, 酒井, 浩多, 本多, 満
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.11.2019
日本呼吸器内視鏡学会
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.41.6_619

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Summary:はじめに.人工呼吸器では管理困難な重症喘息発作の症例を経験したので報告する.症例.54歳男性.病歴.気管支喘息に対して発作時にβ刺激薬の吸入を頓用していた.突然の呼吸困難で救急要請となった.経過.来院時に喘息発作の診断で人工呼吸器管理としアドレナリン筋注の反復とステロイド全身投与を行ったが,持続する換気不全,呼吸性アシドーシスの進行がありextracorporeal membrane oxygenation(ECMO)を導入した.入院翌日に気道内にアドレナリンを散布しその際に気管支平滑筋攣縮の改善を認めた.その後は徐々に喘息発作が収束していき呼吸状態が改善した.計63時間でECMOを離脱,翌日に抜管し,入院18日後に退院した.考察.人工呼吸器では治療困難な喘息発作の症例では速やかなECMO導入を考慮すべきであり,そのような致死的な症例においてはアドレナリンの気道内散布が有用な可能性がある.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.41.6_619