急性胃腸炎に続発して十二指腸潰瘍穿孔を発症した幼児の3例

「要旨」乳幼児の十二指腸潰瘍はまれであるが, 急性胃腸炎に続発する十二指腸潰瘍の穿孔や出血の報告がこれまでも散見される. 今回, 嘔吐・下痢などの急性胃腸炎症状に続発した十二指腸潰瘍穿孔の3幼児例を経験した. 症例は1歳・女児, 2歳・男児, 2歳・女児である. 2例は便中ロタウイルス抗原が陽性であり, 1例は胃腸炎の原因ははっきりしなかったが, 症状, 時期よりウイルス性胃腸炎が考えられた. 3例とも十二指腸球部に穿孔を認めた. 1歳の症例は術前から肝機能異常を認め, 画像所見, 術中肉眼所見でも肝臓の脂肪性変化を認めた. 術後も覚醒遅延や肝機能障害がみられた. 3例とも潰瘍の再発はみられて...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 50; no. 2; pp. 226 - 229
Main Authors 山田和歌, 渡邉稔彦, 田中秀明, 佐藤かおり, 大野通暢, 高橋正貴, 山田耕嗣, 石濱秀雄, 渕本康史, 金森豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児外科学会 20.04.2014
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Summary:「要旨」乳幼児の十二指腸潰瘍はまれであるが, 急性胃腸炎に続発する十二指腸潰瘍の穿孔や出血の報告がこれまでも散見される. 今回, 嘔吐・下痢などの急性胃腸炎症状に続発した十二指腸潰瘍穿孔の3幼児例を経験した. 症例は1歳・女児, 2歳・男児, 2歳・女児である. 2例は便中ロタウイルス抗原が陽性であり, 1例は胃腸炎の原因ははっきりしなかったが, 症状, 時期よりウイルス性胃腸炎が考えられた. 3例とも十二指腸球部に穿孔を認めた. 1歳の症例は術前から肝機能異常を認め, 画像所見, 術中肉眼所見でも肝臓の脂肪性変化を認めた. 術後も覚醒遅延や肝機能障害がみられた. 3例とも潰瘍の再発はみられていない. 急性胃腸炎は日常よくみかける内科疾患であるが, 幼少時の場合, 全身状態の急変時には消化管潰瘍穿孔など外科疾患の合併も考慮しなければならない. 「I はじめに」小児の消化性潰瘍は発症年齢によって病像が著しく異なる.
ISSN:0288-609X
DOI:10.11164/jjsps.50.2_226