先天性右横隔膜ヘルニア根治術後に肝捻転を生じた1例

日齢0 の男児.在胎26 週時,胎児MRI にて右先天性横隔膜ヘルニア(CDH)を指摘された.在胎38 週0 日で予定帝王切開にて出生.日齢4 で右横隔膜修復術を施行.右横隔膜全欠損にてパッチ修復術を施行した.術後1 日目より肝逸脱酵素の上昇を認め,腹部超音波検査にて肝臓左側の門脈血流の低下を認めたため,術後2 日目に緊急開腹術を施行.肝右葉は捻転して肝左葉の外側に移動しており遊走肝を呈していることが判明した.肝右葉の捻転を解除したところ,肝表面の色調は改善し,術中超音波検査でも門脈血流の改善を確認した.肝臓は右葉,左葉内側区域,左葉外側区域に分葉し,後腹膜面で癒合しているのみであった.右CD...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 52; no. 4; pp. 938 - 942
Main Authors 田尻, 達郎, 古川, 泰三, 富樫, 佑一, 東, 真弓, 木村, 修, 青井, 重善, 曽我美, 朋子, 坂井, 宏平, 文野, 誠久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.06.2016
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.52.4_938

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Summary:日齢0 の男児.在胎26 週時,胎児MRI にて右先天性横隔膜ヘルニア(CDH)を指摘された.在胎38 週0 日で予定帝王切開にて出生.日齢4 で右横隔膜修復術を施行.右横隔膜全欠損にてパッチ修復術を施行した.術後1 日目より肝逸脱酵素の上昇を認め,腹部超音波検査にて肝臓左側の門脈血流の低下を認めたため,術後2 日目に緊急開腹術を施行.肝右葉は捻転して肝左葉の外側に移動しており遊走肝を呈していることが判明した.肝右葉の捻転を解除したところ,肝表面の色調は改善し,術中超音波検査でも門脈血流の改善を確認した.肝臓は右葉,左葉内側区域,左葉外側区域に分葉し,後腹膜面で癒合しているのみであった.右CDH は肝の分葉異常を念頭にいれ,術中注意して観察する必要があると考えられた.検索した限りにおいて,CDH 根治術後の肝捻転は,本症例が初めての報告例である.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.52.4_938