硬く肥厚した壁側胸膜に腺癌の小病巣を認め,全層胸膜生検が診断に寄与した癌性胸膜炎の1例

背景.局所麻酔下胸腔鏡による胸膜生検については,その有用性が報告されているが,診断には十分量の組織検体が求められることが多い.今回,硬く肥厚した胸膜に腺癌の散在を認め,通常の鉗子生検では診断困難と考えられ,全層胸膜生検が診断に寄与した症例を経験した.症例.74歳,男性.右胸水貯留にて紹介され,胸水検査では診断がえられず,局所麻酔下胸腔鏡を施行した.壁側胸膜は全体に硬く肥厚していたが,明らかな局所病変を指摘できなかった.壁側胸膜の鉗子生検を試みたが,胸膜が硬く十分量の検体採取が困難であり,全層胸膜生検を施行,組織学的に線維性に肥厚する胸膜に中分化腺癌の小胞巣が散見され,腺癌の胸膜播種と診断された...

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Published in気管支学 Vol. 41; no. 6; pp. 629 - 633
Main Authors 勝田, 倫子, 水守, 康之, 佐々木, 信, 水野, 翔馬, 塚本, 宏壮, 三宅, 剛平, 中原, 保治, 横井, 陽子, 河村, 哲治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.11.2019
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.41.6_629

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Summary:背景.局所麻酔下胸腔鏡による胸膜生検については,その有用性が報告されているが,診断には十分量の組織検体が求められることが多い.今回,硬く肥厚した胸膜に腺癌の散在を認め,通常の鉗子生検では診断困難と考えられ,全層胸膜生検が診断に寄与した症例を経験した.症例.74歳,男性.右胸水貯留にて紹介され,胸水検査では診断がえられず,局所麻酔下胸腔鏡を施行した.壁側胸膜は全体に硬く肥厚していたが,明らかな局所病変を指摘できなかった.壁側胸膜の鉗子生検を試みたが,胸膜が硬く十分量の検体採取が困難であり,全層胸膜生検を施行,組織学的に線維性に肥厚する胸膜に中分化腺癌の小胞巣が散見され,腺癌の胸膜播種と診断された.原発巣は,最終的に胃癌と診断した.結論.局所麻酔下胸腔鏡で胸膜表面に明らかな病変を認めない時,全層胸膜生検が有用な場合があると考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.41.6_629