地方の一施設における,里帰り出産予定妊婦の胎児心エコー検査について
【背景】里帰り妊婦が里帰り後に,突然重症胎児心疾患が発見されることは妊婦と家族に大きな負担となる.【目的】里帰り妊婦の重症胎児心疾患診断に関わる問題点を明らかにする.【対象と方法】2017年1月から3年間,当科で胎児心エコー検査を受けた里帰り妊婦の胎児診断と転帰について検討した.【結果】胎児心エコー検査を受けた全妊婦1,662例中里帰り妊婦は346例(21%),妊娠週数は平均33.5週と非里帰り妊婦より有意に遅かった(p<0.01).胎児診断9例中,両大血管右室起始,総動脈幹,肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損の3例が他の高次医療施設に紹介された.【結語】里帰り後の重症胎児心疾患の診断時期は遅く,妊婦や...
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Published in | 日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 57; no. 1; pp. 61 - 65 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
2021
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Subjects | |
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ISSN | 1348-964X 2435-4996 |
DOI | 10.34456/jjspnm.57.1_61 |
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Summary: | 【背景】里帰り妊婦が里帰り後に,突然重症胎児心疾患が発見されることは妊婦と家族に大きな負担となる.【目的】里帰り妊婦の重症胎児心疾患診断に関わる問題点を明らかにする.【対象と方法】2017年1月から3年間,当科で胎児心エコー検査を受けた里帰り妊婦の胎児診断と転帰について検討した.【結果】胎児心エコー検査を受けた全妊婦1,662例中里帰り妊婦は346例(21%),妊娠週数は平均33.5週と非里帰り妊婦より有意に遅かった(p<0.01).胎児診断9例中,両大血管右室起始,総動脈幹,肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損の3例が他の高次医療施設に紹介された.【結語】里帰り後の重症胎児心疾患の診断時期は遅く,妊婦や家族への病状説明や心理的援助が不十分なまま分娩施設の変更を余儀なくされる場合がある.かつ重症例の多くが大血管異常を伴うことから,里帰り前の胎児心臓病学会ガイドラインレベルIスクリーニングが必須である. |
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ISSN: | 1348-964X 2435-4996 |
DOI: | 10.34456/jjspnm.57.1_61 |