胆道穿孔を発症した先天性胆道拡張症に対して腹腔鏡下に胆囊外瘻を造設した1例

胆道穿孔は,先天性胆道拡張症(congenital biliary dilatation:以下CBD)において稀な合併症の1 つであるが,その治療方針と根治術の時期についてこれまで様々な議論がなされてきた.今回我々は胆道穿孔を発症したCBD に対し二期的根治術を行った1 例を経験したので報告する. 症例は1 歳女児,激しい啼泣と顔色不良を認め前医受診し,腸重積と診断された.整復を試みるも全身状態の改善を認めず,入院後の精査の結果,CBD と診断され当科紹介となった.当科入院後,炎症反応の遷延と腹水の増加を認めたため,胆道穿孔による胆汁性腹膜炎を疑い,審査腹腔鏡を兼ねた腹腔鏡下胆囊外瘻造設術を行...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 51; no. 4; pp. 845 - 850
Main Authors 生野, 猛, 中堀, 亮一, 伊崎, 智子, 岩中, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.06.2015
日本小児外科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.51.4_845

Cover

More Information
Summary:胆道穿孔は,先天性胆道拡張症(congenital biliary dilatation:以下CBD)において稀な合併症の1 つであるが,その治療方針と根治術の時期についてこれまで様々な議論がなされてきた.今回我々は胆道穿孔を発症したCBD に対し二期的根治術を行った1 例を経験したので報告する. 症例は1 歳女児,激しい啼泣と顔色不良を認め前医受診し,腸重積と診断された.整復を試みるも全身状態の改善を認めず,入院後の精査の結果,CBD と診断され当科紹介となった.当科入院後,炎症反応の遷延と腹水の増加を認めたため,胆道穿孔による胆汁性腹膜炎を疑い,審査腹腔鏡を兼ねた腹腔鏡下胆囊外瘻造設術を行った.腹腔内には多量の胆汁性腹水を認めたが,穿孔部と思われた拡張部胆管は大網により被覆されていた.術後40 日目にCBD 根治術を行ったが腹腔内の癒着は軽度であった. 胆道穿孔を合併したCBD に対し,腹腔鏡での確定診断と胆囊外瘻造設は低侵襲で有用な術式と思われる.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.51.4_845