単純MRIにより胆嚢十二指腸瘻が描出された胆石イレウスの1例

要旨:症例は92歳男性.胆嚢結石に対する手術待機中に嘔吐が出現し近医入院.CT検査にて十二指腸水平部に腫瘤影を認め当院転院となった.CT上胆嚢内に認められた結石は消失しており,胆道内にガス像を認めた.MRIでは層構造を伴った結石像をトライツ靭帯近傍に認め,胆管周囲の高度癒着像と胆嚢十二指腸瘻が描出された.以上より胆石イレウスの診断で手術を行った.結石はトライツ靭帯から32 cmに存在し,小腸を小切開し結石を摘出した.胆嚢に関しては胆管周囲の炎症が強く,手術侵襲が大きくなるため胆嚢摘出術は施行しなかった.胆石イレウスは胆嚢結石症の0.15から1.5%に認められる比較的まれな疾患であるが,画像診断...

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Published in胆道 Vol. 27; no. 2; pp. 205 - 209
Main Authors 大菊, 正人, 細村, 直弘, 雨宮, 秀武, 川井田, 博充, 松田, 政徳, 板倉, 淳, 藤井, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2013
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Summary:要旨:症例は92歳男性.胆嚢結石に対する手術待機中に嘔吐が出現し近医入院.CT検査にて十二指腸水平部に腫瘤影を認め当院転院となった.CT上胆嚢内に認められた結石は消失しており,胆道内にガス像を認めた.MRIでは層構造を伴った結石像をトライツ靭帯近傍に認め,胆管周囲の高度癒着像と胆嚢十二指腸瘻が描出された.以上より胆石イレウスの診断で手術を行った.結石はトライツ靭帯から32 cmに存在し,小腸を小切開し結石を摘出した.胆嚢に関しては胆管周囲の炎症が強く,手術侵襲が大きくなるため胆嚢摘出術は施行しなかった.胆石イレウスは胆嚢結石症の0.15から1.5%に認められる比較的まれな疾患であるが,画像診断の向上により術前診断が可能な症例が多くなっている.MRIは造影剤を使用せず低侵襲に胆道周囲の詳細な情報が得られる.比較的まれな胆石イレウスの1手術例を経験したので報告する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.27.205