麻酔深度と患者長期予後:生体免疫機構との関連性

全身麻酔の深度が術後患者の長期予後に関与する可能性が指摘されている.中でも吸入麻酔薬は,生体免疫機構の中心的役割を担うリンパ球や好中球あるいは他の免疫担当細胞の機能を抑制することから,この生体免疫抑制と長期予後の関連を示唆する報告が多い.吸入麻酔による生体免疫機構の抑制効果は,過剰な炎症反応を抑えて予後を改善する一方,担がんあるいは易感染状態では悪化させる可能性が高まる.本稿では,特に吸入麻酔薬による免疫担当細胞機能ならびに生体免疫機構への影響に焦点を当て,麻酔深度と長期予後について概説する....

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 34; no. 1; pp. 066 - 074
Main Authors 五十嵐, 達, 小杉, 志都子, 森崎, 浩, 井上, 敬, 鈴木, 武志, 香取, 信之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2014
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.34.066

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Summary:全身麻酔の深度が術後患者の長期予後に関与する可能性が指摘されている.中でも吸入麻酔薬は,生体免疫機構の中心的役割を担うリンパ球や好中球あるいは他の免疫担当細胞の機能を抑制することから,この生体免疫抑制と長期予後の関連を示唆する報告が多い.吸入麻酔による生体免疫機構の抑制効果は,過剰な炎症反応を抑えて予後を改善する一方,担がんあるいは易感染状態では悪化させる可能性が高まる.本稿では,特に吸入麻酔薬による免疫担当細胞機能ならびに生体免疫機構への影響に焦点を当て,麻酔深度と長期予後について概説する.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.34.066