CTで異常所見を認めず1,3-β-Dグルカン上昇と気管支肺胞洗浄液中の菌体確認より診断したニューモシスチス肺炎の1例
背景.ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis pneumonia:PCP)は免疫能低下時に発症するが,しばしばコロナイゼーションとの鑑別が困難となることがある.発熱・乾性咳嗽・呼吸困難の症状と,気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid:BALF)中の菌体の証明がPCP発症の診断根拠となり,血清1,3-β-Dグルカン(1,3-beta-D-glucan:BDG)値の上昇も血清学的診断根拠として有用である.胸部X線およびCTでは,すりガラス様陰影や浸潤影を呈することが一般的である.症例.29歳男性.発熱と乾性咳嗽を主訴に来院.ヒト免疫不全ウイルス(huma...
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Published in | 気管支学 Vol. 41; no. 3; pp. 284 - 288 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
25.05.2019
日本呼吸器内視鏡学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.41.3_284 |
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Summary: | 背景.ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis pneumonia:PCP)は免疫能低下時に発症するが,しばしばコロナイゼーションとの鑑別が困難となることがある.発熱・乾性咳嗽・呼吸困難の症状と,気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid:BALF)中の菌体の証明がPCP発症の診断根拠となり,血清1,3-β-Dグルカン(1,3-beta-D-glucan:BDG)値の上昇も血清学的診断根拠として有用である.胸部X線およびCTでは,すりガラス様陰影や浸潤影を呈することが一般的である.症例.29歳男性.発熱と乾性咳嗽を主訴に来院.ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)スクリーニング陽性で,CD4陽性Tリンパ球数は197/μlであった.低酸素血症はなく,胸部X線およびCTでも異常所見を認めなかったが,血清BDG値の上昇を認め,BALF中にPneumocystis jirovecii囊子を認めたことから,PCPと診断した.ペンタミジンなどの治療により症状は消失し,血清BDG値は改善した.結論.画像検査で異常を認めなくとも,免疫能が低下しており,症状および血清BDG値上昇を認める場合には,気管支肺胞洗浄はPCPの診断に有用であると考えられる. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.41.3_284 |