6年間の病悩期間を有した成人Bochdalek孔ヘルニアの1例

「緒言」Bochdalek孔ヘルニアは先天性の横隔膜ヘルニアである. 多くは新生児期に発症し, 成人例は比較的まれである. 脱出臓器の嵌頓により発症した報告が多いが, われわれは, 繰り返す左上腹部痛を主訴とし, 6年間の病悩期間を有した成人Bochdalek孔ヘルニアを経験したので報告する. 「症例」症例は45歳, 男性. 特記すべき既往歴なし. 40歳より上腹部痛を繰り返し, 他院にて3回の入院歴があった. いずれも保存的治療で軽快したが, 原因は不明であった. 腹痛にて当院初診となるが, 受診時には症状は消失しており, 腹部X線撮影上も異常なく(図1)経過観察となった. 9日後に再び,...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 3; no. 2; pp. 102 - 104
Main Authors 進士, 誠一, 瀬谷, 知子, 田中, 宣威, 山田, 岳史, 横井, 公良, 田尻, 孝, 金沢, 義一, 小泉, 岐博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2007
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.3.102

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Summary:「緒言」Bochdalek孔ヘルニアは先天性の横隔膜ヘルニアである. 多くは新生児期に発症し, 成人例は比較的まれである. 脱出臓器の嵌頓により発症した報告が多いが, われわれは, 繰り返す左上腹部痛を主訴とし, 6年間の病悩期間を有した成人Bochdalek孔ヘルニアを経験したので報告する. 「症例」症例は45歳, 男性. 特記すべき既往歴なし. 40歳より上腹部痛を繰り返し, 他院にて3回の入院歴があった. いずれも保存的治療で軽快したが, 原因は不明であった. 腹痛にて当院初診となるが, 受診時には症状は消失しており, 腹部X線撮影上も異常なく(図1)経過観察となった. 9日後に再び, 左上腹部痛が出現し, 救急外来受診となった. 来院時は血圧130/70mmHg, 脈拍110/分, 腹部は平坦・軟, 腸蠕動音減弱, 疼痛のため苦悶表情であった. 血液生化学的検査ではWBC12,670/μlと上昇を認めたほか, 異常は認めなかった. 胸部X線撮影にて拡張した胃を認め, 胸腔内への脱出が疑われた(図2). 腹部CT検査にて左胸腔に脱出した胃と牌臓を認めた(図3a, b).
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.3.102