両側副腎部分切除術を施行し,機能を温存し得た副腎褐色細胞腫の1 例

症例は9 歳男児.頭痛,嘔吐,高血圧を契機に両側の副腎腫瘤を指摘された.精査にて両側副腎褐色細胞腫と診断し,術後の副腎機能温存を目的として両側副腎部分切除術を施行した.副腎機能不全を呈することなく,補充していたステロイドは漸減し,術後4 か月目に終了となった.また,術後に遺伝子検査を施行し,von Hippel-Lindau 病と診断した.両側副腎褐色細胞腫に対する副腎部分切除は,術後の副腎機能を温存できる可能性があり,特に小児においては長期にわたるステロイド補充を回避できる利点がある.しかし,遺残副腎への再発の可能性等も考えられ,有効性に関しては未だ報告が十分ではなく,小児例の報告も少ない....

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 50; no. 5; pp. 910 - 915
Main Authors 福島, 敬, 佐々木, 理人, 五藤, 周, 野口, 雅之, 上杉, 達, 瓜田, 泰久, 増本, 幸二, 新開, 統子, 玉井, 香菜, 佐藤, 泰樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.08.2014
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.50.5_910

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Summary:症例は9 歳男児.頭痛,嘔吐,高血圧を契機に両側の副腎腫瘤を指摘された.精査にて両側副腎褐色細胞腫と診断し,術後の副腎機能温存を目的として両側副腎部分切除術を施行した.副腎機能不全を呈することなく,補充していたステロイドは漸減し,術後4 か月目に終了となった.また,術後に遺伝子検査を施行し,von Hippel-Lindau 病と診断した.両側副腎褐色細胞腫に対する副腎部分切除は,術後の副腎機能を温存できる可能性があり,特に小児においては長期にわたるステロイド補充を回避できる利点がある.しかし,遺残副腎への再発の可能性等も考えられ,有効性に関しては未だ報告が十分ではなく,小児例の報告も少ない.今回,両側副腎部分切除を選択し,術後の副腎機能を温存し得た両側副腎褐色細胞腫の1 例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.50.5_910