日本赤十字社に報告された非溶血性副作用の現状-2006年

日本赤十字社では,1993年より全国の医療機関から輸血副作用の情報収集を行っている.非溶血性副作用症例の報告数は増え続け,2004年には1,609件に達した.しかし,それ以降はほぼ一定している.2006年に報告された非溶血性副作用症例数は1,591件であり,前年の1,572件からは僅かな増加であった.報告の内訳は,症例別では,蕁麻疹等が529件で最も多く,全体の33.2%,発熱は238件で15.0%,アナフィラキシー(様)反応は173件で10.9%,アナフィラキシー(様)ショックは246件で15.5%,血圧低下は62件で3.9%,呼吸困難は179件で11.3%,TRALIは66件で4.1%,そ...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 55; no. 4; pp. 500 - 507
Main Authors 村岡, 正人, 相坂, 直子, 百瀬, 俊也, 岡崎, 仁, 日野, 学, 田所, 憲治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2009
日本輸血・細胞治療学会
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Summary:日本赤十字社では,1993年より全国の医療機関から輸血副作用の情報収集を行っている.非溶血性副作用症例の報告数は増え続け,2004年には1,609件に達した.しかし,それ以降はほぼ一定している.2006年に報告された非溶血性副作用症例数は1,591件であり,前年の1,572件からは僅かな増加であった.報告の内訳は,症例別では,蕁麻疹等が529件で最も多く,全体の33.2%,発熱は238件で15.0%,アナフィラキシー(様)反応は173件で10.9%,アナフィラキシー(様)ショックは246件で15.5%,血圧低下は62件で3.9%,呼吸困難は179件で11.3%,TRALIは66件で4.1%,その他副作用98件で6.2%であった.その他副作用には,輸血による精神神経系障害16件が含まれる.原因製剤別の副作用報告頻度をみると血漿製剤,赤血球製剤の供給数10,000本当たり1.8件,1.9件の副作用報告に対し,血小板製剤は9.2件と著しく高かった.全報告のうち,重篤と判断された症例590件が薬事法に基づいて厚生労働省に報告された.これら重篤な副作用は2004年以降,件数,比率共に増加していた.これからも安全な輸血のため,より詳細な調査,解析を行っていくことが必要である.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.55.500