超音波integrated backscatterを用いた頸動脈狭窄病変の組織性状診断

頸動脈狭窄病変に対し血管内手術が行われてきているが, 安全に施行できるか否かは狭窄病変の組織性状によるところが大きいと考えられる. 狭窄病変を評価する診断法には, MRI, MRA, および脳血管撮影があるが, 狭窄病変の形態や狭窄率の評価のみで組織性状を診断することには限界がある. また, 従来のBモード超音波断層法は超音波画像からその組織性状を推察することができるが, 構造物の輪郭を明瞭に描出するためのさまざまな処理により組織本来の性状を定量的に評価することはできない. 超音波組織性状診断とは, 超音波が組織を通過もしくは反射したときに受けた変化を解析することにより, 組織の物理的, 生理...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 29; no. 6; pp. 402 - 407
Main Authors 金, 永進, 別所, 啓伸, 大西, 英之, 小櫃久, 仁彦, 越前, 直樹, 木村, 僚太, 山田, 與徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2001
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.29.402

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Summary:頸動脈狭窄病変に対し血管内手術が行われてきているが, 安全に施行できるか否かは狭窄病変の組織性状によるところが大きいと考えられる. 狭窄病変を評価する診断法には, MRI, MRA, および脳血管撮影があるが, 狭窄病変の形態や狭窄率の評価のみで組織性状を診断することには限界がある. また, 従来のBモード超音波断層法は超音波画像からその組織性状を推察することができるが, 構造物の輪郭を明瞭に描出するためのさまざまな処理により組織本来の性状を定量的に評価することはできない. 超音波組織性状診断とは, 超音波が組織を通過もしくは反射したときに受けた変化を解析することにより, 組織の物理的, 生理的性質の異常を同定, 描出することである5). 組織より反射し散乱した超音波信号を時間軸で積分した超音波後方散乱信号integrated backscatter(IBS)を用いてその組織固有の性状を超音波エネルギーとして定量的に測定することが可能である. 現在, 心筋や肝臓の超音波検査に応用されている4). 超音波IBSを用いた頸動脈狭窄病変の組織性状と頸動脈内膜剥離術(CEA)後の切除標本の組織性状とを比較し, IBSが組織性状診断に有用な指標であるかを検討した.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.29.402