小児気管支カルチノイド摘出術の麻酔導入時に治療に抵抗する重度の気管支攣縮をきたし換気不能となった1例

小児気管支カルチノイド摘出術の麻酔導入時に,治療に抵抗する重度の気管支攣縮をきたし,換気不能となった1例を経験したので報告する.症例は10歳の男児で,気管挿管後に換気不能となった.気管支攣縮を疑いエピネフリンなどで治療を行ったが反応が乏しく,約13分間換気不能状態が続いた.カルチノイドはホルモン産生腫瘍であり,種々の刺激がトリガーとなって気管支攣縮を含むカルチノイドクリーゼを起こす場合がある.通常の治療には反応せず致死的となる可能性があるため,周術期はトリガーとなるストレスや交感神経過緊張を抑え,ソマトスタチンアナログ製剤や膜型人工肺など周到な準備を行って手術に臨むべきである....

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 35; no. 7; pp. 719 - 723
Main Authors 本田, 康子, 吉田, 仁, 荒井, 理歩, 長岡, 治美, 片岡, 久嗣, 那須, 倫範
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 14.11.2015
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Summary:小児気管支カルチノイド摘出術の麻酔導入時に,治療に抵抗する重度の気管支攣縮をきたし,換気不能となった1例を経験したので報告する.症例は10歳の男児で,気管挿管後に換気不能となった.気管支攣縮を疑いエピネフリンなどで治療を行ったが反応が乏しく,約13分間換気不能状態が続いた.カルチノイドはホルモン産生腫瘍であり,種々の刺激がトリガーとなって気管支攣縮を含むカルチノイドクリーゼを起こす場合がある.通常の治療には反応せず致死的となる可能性があるため,周術期はトリガーとなるストレスや交感神経過緊張を抑え,ソマトスタチンアナログ製剤や膜型人工肺など周到な準備を行って手術に臨むべきである.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.35.719