遠位胆管狭窄に対する術前胆道ドレナージの状況

遠位胆管狭窄に対する術前胆道ドレナージは膵頭部癌・遠位胆管癌,乳頭部癌などの術前黄疸合併例に対して行われる.欧米では術前胆道ドレナージ不要という論調があるが,本邦ではERCPによる術前病理診断後の胆管炎予防や,黄疸例に対する手術の安全性を考慮し,慣例的に行われてきた.以前はプラスチックステントを選択するケースが多かったが,ステント閉塞による胆管炎が危惧されることから,近年ではself-expandable metallic stent(SEMS)が選択されることが増えている.また,膵癌に対して術前化学(放射線)療法が試みられるようになり,安全な術前治療のためSEMSの重要性が高まっている.遠位...

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Published in胆道 Vol. 34; no. 5; pp. 821 - 827
Main Authors 齋藤, 友隆, 齋藤, 圭, 中井, 陽介, 佐藤, 達也, 石垣, 和祥, 白田, 龍之介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.12.2020
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.34.821

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Summary:遠位胆管狭窄に対する術前胆道ドレナージは膵頭部癌・遠位胆管癌,乳頭部癌などの術前黄疸合併例に対して行われる.欧米では術前胆道ドレナージ不要という論調があるが,本邦ではERCPによる術前病理診断後の胆管炎予防や,黄疸例に対する手術の安全性を考慮し,慣例的に行われてきた.以前はプラスチックステントを選択するケースが多かったが,ステント閉塞による胆管炎が危惧されることから,近年ではself-expandable metallic stent(SEMS)が選択されることが増えている.また,膵癌に対して術前化学(放射線)療法が試みられるようになり,安全な術前治療のためSEMSの重要性が高まっている.遠位胆管狭窄症例に対する術前胆道ドレナージの意義は十分なエビデンスが構築されておらず,今後,大規模な前向き比較試験が望まれる.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.34.821