3年近くにわたる長期生存が得られた大動脈周囲リンパ節転移を伴う膵癌の一例

症例は65歳,女性.膵頭部に15mm大の辺縁不整な腫瘤像を認め,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を予定した.術中に大動脈周囲リンパ節領域(No.16)にリンパ節腫大を認め,迅速病理診断で膵癌のリンパ節転移と診断されたためStage IVbと判断し,Gemcitabine(GEM)+TS-1療法(GS療法)を施行した.12コース施行後の評価でSDであったため,切除の方針とし試験開腹手術より14か月後にSSPPDを施行した.現在初回診断時より2年11か月が経過している.術後肺に結節影を認めており,肺結節は軽度増大しているが健常な日常生活を送っている.大動脈周囲リンパ節転移陽性膵癌は予後不良であり,術前...

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Published in膵臓 Vol. 30; no. 1; pp. 137 - 143
Main Authors 出先, 亮介, 新地, 洋之, 前村, 公成, 又木, 雄弘, 桑畑, 太作, 上野, 真一, 迫田, 雅彦, 飯野, 聡, 高尾, 尊身, 夏越, 祥次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.02.2015
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Summary:症例は65歳,女性.膵頭部に15mm大の辺縁不整な腫瘤像を認め,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を予定した.術中に大動脈周囲リンパ節領域(No.16)にリンパ節腫大を認め,迅速病理診断で膵癌のリンパ節転移と診断されたためStage IVbと判断し,Gemcitabine(GEM)+TS-1療法(GS療法)を施行した.12コース施行後の評価でSDであったため,切除の方針とし試験開腹手術より14か月後にSSPPDを施行した.現在初回診断時より2年11か月が経過している.術後肺に結節影を認めており,肺結節は軽度増大しているが健常な日常生活を送っている.大動脈周囲リンパ節転移陽性膵癌は予後不良であり,術前・術後化学療法と手術を組み合わせる集学的治療を行うことで長期生存が得られることが示唆された.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.30.137