早期の心房中隔欠損閉鎖術により呼吸障害の改善を認めた重症慢性肺疾患を有する超低出生体重児の1例

在胎26週6日,598g,女児.修正36週以降もHigh flow nasal cannulaによる呼吸補助を離脱できず,重症慢性肺疾患と診断した.心臓超音波検査で最大径11mmの心房中隔欠損症(ASD)と圧較差44mmHgの三尖弁逆流を認め,慢性肺疾患と高肺血流の合併による肺高血圧を疑った.呼吸障害改善と肺高血圧重症化予防には,肺血流量是正が必要と考え,外科的治療の可否を判断するために生後5カ月で心臓カテーテル検査を実施した.重症の肺高血圧はないことを確認し,生後6カ月にASD閉鎖術を行った.手術直後に肺高血圧クライシスを呈し一酸化窒素吸入療法を要したが,その後速やかに経口血管拡張薬治療に移...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 57; no. 3; pp. 535 - 539
Main Authors 玉岡, 哲, 鈴木, 靖美, 金, 隆根, 長田, 朝美, 有光, 威志, 飛彈, 麻里子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2021
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ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.57.3_535

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Summary:在胎26週6日,598g,女児.修正36週以降もHigh flow nasal cannulaによる呼吸補助を離脱できず,重症慢性肺疾患と診断した.心臓超音波検査で最大径11mmの心房中隔欠損症(ASD)と圧較差44mmHgの三尖弁逆流を認め,慢性肺疾患と高肺血流の合併による肺高血圧を疑った.呼吸障害改善と肺高血圧重症化予防には,肺血流量是正が必要と考え,外科的治療の可否を判断するために生後5カ月で心臓カテーテル検査を実施した.重症の肺高血圧はないことを確認し,生後6カ月にASD閉鎖術を行った.手術直後に肺高血圧クライシスを呈し一酸化窒素吸入療法を要したが,その後速やかに経口血管拡張薬治療に移行可能となった.術後21日目に在宅酸素吸入療法導入下で退院した.慢性肺疾患を合併する超低出生体重児ではASDの早期治療が呼吸障害を改善する可能性が示唆された.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.57.3_535