岩手医科大学附属病院総合周産期医療センター新生児部門における死亡症例調査
【目的】日本における新生児医療の進歩の一方,新生児死亡率には地域格差がある.岩手県の中心的施設である当院の周産期医療の実態を調査し,岩手県としての課題を明らかにする. 【方法】2008年1月から2017年12月までに当院新生児集中治療室に入院し死亡退院した児を,極低出生体重児,染色体異常,先天性心疾患,その他の先天異常,その他の先天異常に先天性心疾患を伴う群に分類し,臨床経過を診療録から後方視的に検討した. 【結果】各群の入院全体に占める割合に一定の傾向はなく,2010年を境に死亡率は低下した.極低出生体重児の割合は大幅に減少し,染色体異常とその他の先天異常が死亡症例に占める割合が増加した.2...
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Published in | 日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 58; no. 3; pp. 479 - 485 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
2022
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Subjects | |
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ISSN | 1348-964X 2435-4996 |
DOI | 10.34456/jjspnm.58.3_479 |
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Summary: | 【目的】日本における新生児医療の進歩の一方,新生児死亡率には地域格差がある.岩手県の中心的施設である当院の周産期医療の実態を調査し,岩手県としての課題を明らかにする. 【方法】2008年1月から2017年12月までに当院新生児集中治療室に入院し死亡退院した児を,極低出生体重児,染色体異常,先天性心疾患,その他の先天異常,その他の先天異常に先天性心疾患を伴う群に分類し,臨床経過を診療録から後方視的に検討した. 【結果】各群の入院全体に占める割合に一定の傾向はなく,2010年を境に死亡率は低下した.極低出生体重児の割合は大幅に減少し,染色体異常とその他の先天異常が死亡症例に占める割合が増加した.2012年以降の死亡率は全国平均と同等で,医師数が増加した時期と一致した. 【考察】新生児医療の進歩のほか,医療提供体制の改善と死亡率低下の関連が示唆された.安定した医療資源と医療的ケア児の円滑な在宅医療移行が課題と考えた. |
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ISSN: | 1348-964X 2435-4996 |
DOI: | 10.34456/jjspnm.58.3_479 |