胃切除者の胃電図解析
「1. はじめに」若年女性の便秘や, 勤労世代のストレス性下痢など, 胃腸活動の異常に伴う疾病が問題になっている. 胃腸活動を無拘束・簡便に測定できるひとつの方法として経皮的胃電図がある. 胃電図は, 胃の蠕動運動を制御する電気伝播を腹壁表面より測定するものである(1). しかし, 胃電図の測定には特別な装置が必要であること, 微弱な電流であるので胃電図記録は腹壁における誘導電位が低いため, 呼吸に伴う横隔膜の筋電図や心電図の影響を受けやすいことなどから, 研究が進んでこなかった. 近年, 測定技術の向上に伴い, 胃電図研究は発展し, 胃の消化機能や消化運動を司る自律神経活動を簡便に測定できる...
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Published in | 日本衛生学雑誌 Vol. 66; no. 1; pp. 64 - 70 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本衛生学会
2011
日本衛生学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5082 1882-6482 |
DOI | 10.1265/jjh.66.64 |
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Summary: | 「1. はじめに」若年女性の便秘や, 勤労世代のストレス性下痢など, 胃腸活動の異常に伴う疾病が問題になっている. 胃腸活動を無拘束・簡便に測定できるひとつの方法として経皮的胃電図がある. 胃電図は, 胃の蠕動運動を制御する電気伝播を腹壁表面より測定するものである(1). しかし, 胃電図の測定には特別な装置が必要であること, 微弱な電流であるので胃電図記録は腹壁における誘導電位が低いため, 呼吸に伴う横隔膜の筋電図や心電図の影響を受けやすいことなどから, 研究が進んでこなかった. 近年, 測定技術の向上に伴い, 胃電図研究は発展し, 胃の消化機能や消化運動を司る自律神経活動を簡便に測定できる生体信号として注目されている. 健常者の胃では, 安静時, および食後一定時間が経過したあとは1分間におよそ3回の変動, 3 cycle per minute (cpm)が起こる. また, 胃電図の正常な変動周期は2.4~3.7cpmとされているが(2), 文献によって多少の差異があるものの(2-4), 概ね2~4cpm程度の変動周期が定義されている. |
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ISSN: | 0021-5082 1882-6482 |
DOI: | 10.1265/jjh.66.64 |