心肺危機における膜型人工肺の活用とその要点
1.膜型人工肺による生命維持法の変遷と現況 1970年代のECMO(extracorporeal membrane oxygenation)以後, 種々の方法と名称が登場してきた. その基本は, 末梢の血管から脱送血する静脈-静脈あるいは静脈-動脈バイパス法である. われわれは, 呼吸補助を目的とする場合は体外式肺補助(extracorporeal lung assist;ECLA), 呼吸と循環の両方を補助する場合は体外式心肺補助(extracorporeal lung and heart assist;ECLHA)と呼んできた. 熊本大学麻酔科におけるこれまでのECLA/ECLHA症例は5...
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Published in | 蘇生 Vol. 12; p. 30 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本蘇生学会
1994
The Japanese Society of Reanimatology |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0288-4348 1884-748X |
DOI | 10.11414/jjreanimatology1983.12.30 |
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Summary: | 1.膜型人工肺による生命維持法の変遷と現況 1970年代のECMO(extracorporeal membrane oxygenation)以後, 種々の方法と名称が登場してきた. その基本は, 末梢の血管から脱送血する静脈-静脈あるいは静脈-動脈バイパス法である. われわれは, 呼吸補助を目的とする場合は体外式肺補助(extracorporeal lung assist;ECLA), 呼吸と循環の両方を補助する場合は体外式心肺補助(extracorporeal lung and heart assist;ECLHA)と呼んできた. 熊本大学麻酔科におけるこれまでのECLA/ECLHA症例は54例(新生児10例を含むECLA29例, ECLHA25例), 長期生存率は31%である. わが国のECLA/ECLHAの年間症例数は, 心臓手術後あるいは新生児症例を中心に70~100例であったが, 簡便な経皮心肺補助法(percutaneous cardiopulmonary support;PCPS)の導入とともに救急蘇生, 心原性ショックなどへの応用が急速に広がってきた. 2.ECLA/ECLHA活用の要点 肺と心臓の安静により病変の治癒を促すには, その間安全なECLA/ECLHAによる生命維持が不可欠となる. それには十分な脱血量, 適切な人工肺の選択, 出血防止の3点が要点である. 脱血量は循環血液量の鋭敏な指標であり, 脱血量不足の原因として出血とthird space形成による静脈還流減少が重要である. ヘパリン結合人工肺はactivated coagulation timeを120~130秒と短縮した状態で使用できる. ヘパリン使用量が少なく出血防止に効果的である. 緊急の心肺危機に即応する救急蘇生用手動体外循環法は, 軽量かつ簡便で, 3~2L/分のバイパス血流を得ることができ, 有効な蘇生法として期待できる. |
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ISSN: | 0288-4348 1884-748X |
DOI: | 10.11414/jjreanimatology1983.12.30 |