妊娠26週に聴神経腫瘍と診断され,分娩後に開頭腫瘍摘出術を施行した一例

脳腫瘍合併妊娠は稀であり,その管理方針は一定した見解が得られていない.今回我々は,妊娠26週に聴神経腫瘍と診断され,母児共に良好な予後を得た一例を経験したので報告する.症例は26歳,1妊0産.妊娠26週に左難聴と左顔面神経麻痺のためMRI検査を前医で施行され,聴神経腫瘍と診断された.腫瘍は手術適応と判断されたが,水頭症は認められず,聴神経腫瘍は良性腫瘍が多いため,手術は分娩後の方針となった.妊娠31週に嘔吐と眩暈が出現し,当院に搬送された.産科,脳神経外科,麻酔科により管理方針が協議され,正期産期に全身麻酔下に帝王切開を施行し,脳腫瘍摘出術は分娩後に施行する方針とした.妊娠37週1日に男児,2...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 59; no. 2; pp. 227 - 232
Main Authors 佐藤, 直, 鈴木, 崇, 鈴木, 正人, 水主川, 純, 藏本, 吾郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2023
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ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.59.2_227

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Summary:脳腫瘍合併妊娠は稀であり,その管理方針は一定した見解が得られていない.今回我々は,妊娠26週に聴神経腫瘍と診断され,母児共に良好な予後を得た一例を経験したので報告する.症例は26歳,1妊0産.妊娠26週に左難聴と左顔面神経麻痺のためMRI検査を前医で施行され,聴神経腫瘍と診断された.腫瘍は手術適応と判断されたが,水頭症は認められず,聴神経腫瘍は良性腫瘍が多いため,手術は分娩後の方針となった.妊娠31週に嘔吐と眩暈が出現し,当院に搬送された.産科,脳神経外科,麻酔科により管理方針が協議され,正期産期に全身麻酔下に帝王切開を施行し,脳腫瘍摘出術は分娩後に施行する方針とした.妊娠37週1日に男児,2,644gを娩出した.産褥41日目に脳腫瘍摘出術を施行し,神経学的後遺症なく経過している.脳腫瘍合併妊娠では関連診療科の連携により病状や母児の状態に応じた管理方針の決定が重要である.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.59.2_227