無症候性の単胎前置胎盤症例の予定帝王切開を妊娠38週に設定する妥当性の検討

目的:妊娠36週の時点で無症候性の単胎前置胎盤を妊娠38週に帝王切開術(帝切)を予定する管理方針の妥当性を検証すること.方法:2006年1月から2017年12月に当科で分娩となった癒着胎盤を除く単胎の前置胎盤94例のうち,妊娠36週の時点で無症候性の症例を対象に母児の有害事象を評価した.この群はベッドレストのみで管理し,妊娠38週以降に帝切を予定した.母体の有害事象は緊急帝切の実施,分娩時出血量の増加などとし,児の有害事象は主に新生児集中治療室への入院とした.結果:無症候群は27例でそのうち25例(93%)が妊娠38週以降で分娩となり,緊急帝切は2例(7%),分娩時出血量は1,447g±652...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 56; no. 2; pp. 236 - 241
Main Authors 多田, 克彦, 吉田, 瑞穂, 立石, 洋子, 塚原, 紗耶, 中村, 信, 影山, 操, 萬, もえ, 大岡, 尚実, 中村, 和恵, 沖本, 直輝, 熊澤, 一真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2020
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ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.56.2_236

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Summary:目的:妊娠36週の時点で無症候性の単胎前置胎盤を妊娠38週に帝王切開術(帝切)を予定する管理方針の妥当性を検証すること.方法:2006年1月から2017年12月に当科で分娩となった癒着胎盤を除く単胎の前置胎盤94例のうち,妊娠36週の時点で無症候性の症例を対象に母児の有害事象を評価した.この群はベッドレストのみで管理し,妊娠38週以降に帝切を予定した.母体の有害事象は緊急帝切の実施,分娩時出血量の増加などとし,児の有害事象は主に新生児集中治療室への入院とした.結果:無症候群は27例でそのうち25例(93%)が妊娠38週以降で分娩となり,緊急帝切は2例(7%),分娩時出血量は1,447g±652gで,これまでの報告と比較して良好だった.この27例中新生児科入院例は2例(7%)だった.結語:無症候性前置胎盤症例では,児の短期予後を悪化させることなく,妊娠38週での予定帝切を安全に施行できる可能性が示された.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.56.2_236