COVID-19治療中に腎移植患者のタクロリムス血中濃度が上昇した2症例
「緒言」 タクロリムス水和物(タクロリムス)は, 関節リウマチや重症筋無力症などの自己免疫性疾患や各種臓器移植の拒絶反応の抑制に使用されている. タクロリムスは, イムノフィリンと呼ばれる細胞内の受容体へ結合後に脱リン酸化酵素カルシニューリンの活性を抑制し, インターロイキン2やインターフェロンγの産生を抑制し, T細胞の増殖抑制作用を示す. また, タクロリムスは薬物代謝酵素であるチトクロムP450(cytochrome P450: CYP)の主に3A4/5で代謝され, P糖たんぱく質の基質にもなるため, 薬物間相互作用によりタクロリムスの体内動態に影響を与える薬が多い薬剤である. タクロリ...
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Published in | 医療薬学 Vol. 48; no. 2; pp. 106 - 111 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本医療薬学会
10.02.2022
日本医療薬学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1346-342X 1882-1499 |
DOI | 10.5649/jjphcs.48.106 |
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Summary: | 「緒言」 タクロリムス水和物(タクロリムス)は, 関節リウマチや重症筋無力症などの自己免疫性疾患や各種臓器移植の拒絶反応の抑制に使用されている. タクロリムスは, イムノフィリンと呼ばれる細胞内の受容体へ結合後に脱リン酸化酵素カルシニューリンの活性を抑制し, インターロイキン2やインターフェロンγの産生を抑制し, T細胞の増殖抑制作用を示す. また, タクロリムスは薬物代謝酵素であるチトクロムP450(cytochrome P450: CYP)の主に3A4/5で代謝され, P糖たんぱく質の基質にもなるため, 薬物間相互作用によりタクロリムスの体内動態に影響を与える薬が多い薬剤である. タクロリムスの有効血中濃度域は狭く, 経口投与では吸収が一定しておらず, 患者により個人差がみられるため, 本剤投与中の患者は定期的な血中濃度測定が推奨されている. 当院では, 腎臓移植が積極的に実施されており, 移植後の患者に対し移植片対宿主病の予防目的にタクロリムスが投与され, 当薬剤部にてタクロリムスの薬物血中濃度測定を行っている. |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.48.106 |