WEBアンケート調査から見る本邦の術前栄養管理の実態

術前の適切な栄養管理は患者の予後を改善するとされている. しかしながら, 本邦における実施状況は明らかではない. そこで, 全国の外科医を対象に術前栄養に関するWEBアンケートを行い, その実態, 仮想症例に対する栄養管理の選択, 末梢静脈栄養に対する認識を調査した. 近年, 栄養状態の評価に血清アルブミン値等の内臓蛋白値を用いることは好ましくないとされているが, 依然として体重やBMIと並んで血液データが広く用いられていた. 栄養管理に関しては, 症例の栄養状態および摂食状況に応じて行われている実態が推察された. 介入方法は, 経口摂取が可能であれば経口的栄養補助 (ONS) が第一選択とな...

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Published in外科と代謝・栄養 Vol. 55; no. 2; pp. 89 - 99
Main Authors 深柄, 和彦, 福島, 亮治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本外科代謝栄養学会 15.04.2021
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ISSN0389-5564
2187-5154
DOI10.11638/jssmn.55.2_89

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Summary:術前の適切な栄養管理は患者の予後を改善するとされている. しかしながら, 本邦における実施状況は明らかではない. そこで, 全国の外科医を対象に術前栄養に関するWEBアンケートを行い, その実態, 仮想症例に対する栄養管理の選択, 末梢静脈栄養に対する認識を調査した. 近年, 栄養状態の評価に血清アルブミン値等の内臓蛋白値を用いることは好ましくないとされているが, 依然として体重やBMIと並んで血液データが広く用いられていた. 栄養管理に関しては, 症例の栄養状態および摂食状況に応じて行われている実態が推察された. 介入方法は, 経口摂取が可能であれば経口的栄養補助 (ONS) が第一選択となるが, アドヒアランスが悪い場合や経口摂取が難しい症例では経管栄養や静脈栄養も行われていた. 本調査を通じて, 術前栄養の現状が明らかとなったが, 今後はこの結果を基礎として, 術前栄養管理の適応や具体的かつ現実的な方法の詳細を検討していく必要がある.
ISSN:0389-5564
2187-5154
DOI:10.11638/jssmn.55.2_89