重症急性膵炎を発症した新型コロナウイルス感染症妊婦の1例

妊婦は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化のハイリスクであり,早産リスクも指摘されている.一方,因果関係は明らかではないものの,COVID-19では急性膵炎を合併した症例が報告されている.今回,COVID-19肺炎治療後に重症急性膵炎を発症し,妊娠31週で帝王切開分娩となった一例を経験した.症例は37歳初産婦で,妊娠29週にCOVID-19肺炎のため前医入院となった.酸素投与にて肺炎は改善したものの,発症後9日に強い上腹部痛,血中アミラーゼ値の上昇を認め,重症急性膵炎と診断された.膵炎治療中,妊娠31週4日に陣痛発来したため当院搬送となり,同日COVID-19および低置胎盤を適応...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 58; no. 3; pp. 544 - 549
Main Authors 大原, 玲奈, 西田, 恵子, 阿部, 春奈, 野口, 里枝, 諌山, 瑞紀, 木村, 友沢, 濱田, 洋実, 眞弓, みゆき, 佐藤, 豊実, 小畠, 真奈
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2022
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ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.58.3_544

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Summary:妊婦は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化のハイリスクであり,早産リスクも指摘されている.一方,因果関係は明らかではないものの,COVID-19では急性膵炎を合併した症例が報告されている.今回,COVID-19肺炎治療後に重症急性膵炎を発症し,妊娠31週で帝王切開分娩となった一例を経験した.症例は37歳初産婦で,妊娠29週にCOVID-19肺炎のため前医入院となった.酸素投与にて肺炎は改善したものの,発症後9日に強い上腹部痛,血中アミラーゼ値の上昇を認め,重症急性膵炎と診断された.膵炎治療中,妊娠31週4日に陣痛発来したため当院搬送となり,同日COVID-19および低置胎盤を適応に緊急帝王切開術を行った.母体に胆石やアルコール摂取習慣はなく,その他の膵炎リスク因子も認めなかった.COVID-19妊婦においても,呼吸器疾患以外の合併症が発生する可能性も念頭に管理する必要がある.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.58.3_544