救急車内分娩後の新生児肝損傷に対し開腹手術で救命できた1例

症例は日齢0の女児.母体は妊娠38週で骨盤位と臍帯脱出を認め当院搬送中に救急車内で分娩となった.児は新生児仮死のため直ちに心肺蘇生が開始された.NICU入院後,重度の代謝性アシドーシスと痙攣を認めたため低酸素脳症と診断し低体温療法開始となった.日齢1に血圧低下と貧血から腹部超音波検査を施行したところ,肝右葉に約3cmの血腫を認めたため当科紹介された.保存的加療の方針となるもバイタルは安定せず,保存的加療の継続は困難と判断して日齢2に低体温療法を中止,開腹手術となった.開腹すると肝右葉後区域に破裂部があり出血源と判断した.可吸収性止血剤を損傷部に貼付し圧迫止血したところ,出血が制御されたためドレ...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 57; no. 2; pp. 404 - 408
Main Authors 鈴村, 宏, 荻野, 恵, 松寺, 翔太郎, 渡邊, 峻, 栗林, 良多, 山口, 岳史, 谷, 有希子, 土岡, 丘, 吉原, 重美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2021
Subjects
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ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.57.2_404

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Summary:症例は日齢0の女児.母体は妊娠38週で骨盤位と臍帯脱出を認め当院搬送中に救急車内で分娩となった.児は新生児仮死のため直ちに心肺蘇生が開始された.NICU入院後,重度の代謝性アシドーシスと痙攣を認めたため低酸素脳症と診断し低体温療法開始となった.日齢1に血圧低下と貧血から腹部超音波検査を施行したところ,肝右葉に約3cmの血腫を認めたため当科紹介された.保存的加療の方針となるもバイタルは安定せず,保存的加療の継続は困難と判断して日齢2に低体温療法を中止,開腹手術となった.開腹すると肝右葉後区域に破裂部があり出血源と判断した.可吸収性止血剤を損傷部に貼付し圧迫止血したところ,出血が制御されたためドレーンを留置し手術終了とした.術後経過は順調で術後36日目に退院となった.新生児に発生した肝損傷に対しては小児科や放射線科など他科と密に連携し,適切な時期に手術療法を行うことが重要である.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.57.2_404