久山町研究を基盤とした脳梗塞のゲノムワイド関連遺伝子研究

「はじめに」脳卒中は日本人の死因の第3位を占める代表的な生活習慣病であり, 死に至らずとも運動機能や認知機能に障害を残し医療費や介護負担の増大を来すため, 社会的に重要な疾病のひとつである. 脳卒中などの生活習慣病は, 複数の環境要因と遺伝要因が組み合わさることにより発症する多因子疾患と考えられている. 従って, その発症メカニズムを把握し的確な予防法・治療法を開発するには, 環境要因と遺伝要因の双方について十分な理解が必要である. 脳卒中のうち最も頻度の高い脳梗塞の危険因子については, 多くの疫学・臨床研究により主に生活・環境要因の面から検討され, 高血圧, 糖尿病, 脂質異常症, 肥満,...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 66; no. 1; pp. 47 - 52
Main Authors 秦, 淳, 久保, 充明, 清原, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本衛生学会 2011
日本衛生学会
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ISSN0021-5082
1882-6482
DOI10.1265/jjh.66.47

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Summary:「はじめに」脳卒中は日本人の死因の第3位を占める代表的な生活習慣病であり, 死に至らずとも運動機能や認知機能に障害を残し医療費や介護負担の増大を来すため, 社会的に重要な疾病のひとつである. 脳卒中などの生活習慣病は, 複数の環境要因と遺伝要因が組み合わさることにより発症する多因子疾患と考えられている. 従って, その発症メカニズムを把握し的確な予防法・治療法を開発するには, 環境要因と遺伝要因の双方について十分な理解が必要である. 脳卒中のうち最も頻度の高い脳梗塞の危険因子については, 多くの疫学・臨床研究により主に生活・環境要因の面から検討され, 高血圧, 糖尿病, 脂質異常症, 肥満, 喫煙, 多量飲酒などが危険因子として取りあげられている(1). 一方, その遺伝要因については, 双生児研究や家族歴研究(2)によってその存在が示唆されているものの, 実際に脳梗塞の発症に影響を与える具体的な遺伝子についてはほとんど解明されていない.
ISSN:0021-5082
1882-6482
DOI:10.1265/jjh.66.47