妊娠中の潰瘍性大腸炎の再燃・増悪を契機に母体がサイトメガロウイルス感染症と診断された1例

妊娠中に母体がサイトメガロウイルス(CMV)に感染した場合,出生児の0.3%がCMV感染を発症し,精神運動発達遅滞,難聴をきたすことがある.また,潰瘍性大腸炎(UC)合併妊娠におけるCMV感染症の報告は非常に少ない.今回,妊娠中に合併症であるUCが増悪したことを契機に母体がCMV感染症と診断され,児が無症候性先天性CMV感染と診断された症例を経験したので報告する.症例は31歳,2妊1産,UC合併.妊娠28週頃よりUCの症状が再燃し,妊娠31週からメサラジン内服を開始した.CMV腸炎除外目的に施行した血液検査でCMV感染症と診断された.妊娠38週に経腟分娩で出生し,児は無症候性先天性CMV感染と...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 58; no. 1; pp. 181 - 184
Main Authors 橋本, 友美, 山岡, 結香, 永田, 怜子, 和田, 雅樹, 菅野, 俊幸, 鈴木, 優人, 本橋, 卓, 水主川, 純, 阿部, 結貴, 藏本, 吾郎, 田畑, 務, 中林, 章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2022
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ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.58.1_181

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Summary:妊娠中に母体がサイトメガロウイルス(CMV)に感染した場合,出生児の0.3%がCMV感染を発症し,精神運動発達遅滞,難聴をきたすことがある.また,潰瘍性大腸炎(UC)合併妊娠におけるCMV感染症の報告は非常に少ない.今回,妊娠中に合併症であるUCが増悪したことを契機に母体がCMV感染症と診断され,児が無症候性先天性CMV感染と診断された症例を経験したので報告する.症例は31歳,2妊1産,UC合併.妊娠28週頃よりUCの症状が再燃し,妊娠31週からメサラジン内服を開始した.CMV腸炎除外目的に施行した血液検査でCMV感染症と診断された.妊娠38週に経腟分娩で出生し,児は無症候性先天性CMV感染と診断された.日齢6からバルガンシクロビルを6週間投与し,尿中CMVは陰性化した.生後1年時点で精神運動発達は順調である.本症例では児は出生後速やかに先天性CMV感染症と診断し治療を行うことができた.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.58.1_181