慢性好酸球性肺炎と妊娠 ─産褥期に発症し寛解期に次の妊娠・出産が可能であった1例

慢性好酸球性肺炎(chronic eosinophilic pneumonia:CEP)は,好酸球と活性化リンパ球が末梢気道から肺胞領域へ浸潤する病因不明の疾患で,妊娠と関連した既報は国内外を含め4例しかなく,産褥期に発症の報告例はない.症例は,25歳時に右足関節の好酸球性血管浮腫の既往があった.27歳時の第1子の分娩後23日目から発熱が続き,抗菌薬で軽快せず分娩後33日目に当院に紹介となった.胸部CTでCEPが疑われ,気管支鏡検査で肺胞洗浄液中の好酸球が68%と増多しており,経気管支肺生検でCEPと診断した.プレドニゾロン(PSL)30mg/日で改善するも,PSLを5mg/日未満にすると再燃...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 58; no. 2; pp. 380 - 385
Main Authors 原田, 直哉, 東浦, 友美, 春田, 典子, 藤井, 肇, 赤坂, 往倫範, 延原, 一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2022
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ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.58.2_380

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Summary:慢性好酸球性肺炎(chronic eosinophilic pneumonia:CEP)は,好酸球と活性化リンパ球が末梢気道から肺胞領域へ浸潤する病因不明の疾患で,妊娠と関連した既報は国内外を含め4例しかなく,産褥期に発症の報告例はない.症例は,25歳時に右足関節の好酸球性血管浮腫の既往があった.27歳時の第1子の分娩後23日目から発熱が続き,抗菌薬で軽快せず分娩後33日目に当院に紹介となった.胸部CTでCEPが疑われ,気管支鏡検査で肺胞洗浄液中の好酸球が68%と増多しており,経気管支肺生検でCEPと診断した.プレドニゾロン(PSL)30mg/日で改善するも,PSLを5mg/日未満にすると再燃するため,PSL 5mg/日で寛解を保った.29歳でこの維持量で第2子を妊娠し出産したが特記すべき異常はなかった.PSLの維持量が少ない寛解状態のCEPであれば安全に出産できる可能性がある.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.58.2_380