皮膚炎症のイメージング

  皮膚は生体の最外層に位置する人体最大の臓器である.皮膚は,生体の水分保持や外界からの刺激に対する「物理的バリア」としての機能のみならず,免疫応答を介した生体防御の最前線として「免疫学的バリア」という極めて重要な役割を果たしている.皮膚に侵入した多種多様な抗原に対し,T細胞は抗原特異的かつ迅速に応答し,病原体の排除を行う必要がある.そのため,効率的にT細胞が活性化させる仕組みが必要となってくる.一方で,過剰な免疫応答は自己の障害に繋がるため,生体は免疫応答を負に制御するメカニズムも有している.これらのメカニズムについて,従来細胞培養系やex vivoの系での解析が中心であったが,近年,生体内...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 40; no. 5; pp. 337 - 343
Main Authors 本田, 哲也, 椛島, 健治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2017
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Summary:  皮膚は生体の最外層に位置する人体最大の臓器である.皮膚は,生体の水分保持や外界からの刺激に対する「物理的バリア」としての機能のみならず,免疫応答を介した生体防御の最前線として「免疫学的バリア」という極めて重要な役割を果たしている.皮膚に侵入した多種多様な抗原に対し,T細胞は抗原特異的かつ迅速に応答し,病原体の排除を行う必要がある.そのため,効率的にT細胞が活性化させる仕組みが必要となってくる.一方で,過剰な免疫応答は自己の障害に繋がるため,生体は免疫応答を負に制御するメカニズムも有している.これらのメカニズムについて,従来細胞培養系やex vivoの系での解析が中心であったが,近年,生体内での細胞動態を直接的に観察する“ライブイメージング”という手法が導入され,生体内での免疫反応が可視化することが可能となってきた.本稿では,ライブイメージングを用いて明らかとなった,皮膚でのエフェクターT細胞の活性化制御機構,および樹状細胞の動態制御機構について,最近の我々の研究成果を紹介する.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.40.337