気管支鏡の破損を分析する

背景.気管支鏡は超音波内視鏡,ステント,気管支充填術,また当科においては,術前コイルマーキングなど,様々な手技に使用されている.同時に,気管支鏡操作も複雑になり,様々な外力がかかることで破損が起こりやすくなる.気管支鏡の故障は医療経済面での不利益のみならず,合併症発生の増加や,修理期間中の検査・治療が中断されることによる患者側の不利益につながる.目的.当院で経験した気管支鏡の破損について検討し,その原因について探求し,今後の予防策や注意点に関して検討する.方法.2015年1月から2017年11月において当科で気管支鏡検査を施行した246例のうち,気管支鏡修理状況について,気管支鏡の種類や破損原...

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Published in気管支学 Vol. 43; no. 2; pp. 91 - 96
Main Authors 鳥羽, 博明, 滝沢, 宏光, 坪井, 光弘, 丹黒, 章, 吉田, 光輝, 梶浦, 耕一郎, 川上, 行奎, 河北, 直也, 澤田, 徹, 近藤, 和也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.03.2021
日本呼吸器内視鏡学会
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.43.2_91

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Summary:背景.気管支鏡は超音波内視鏡,ステント,気管支充填術,また当科においては,術前コイルマーキングなど,様々な手技に使用されている.同時に,気管支鏡操作も複雑になり,様々な外力がかかることで破損が起こりやすくなる.気管支鏡の故障は医療経済面での不利益のみならず,合併症発生の増加や,修理期間中の検査・治療が中断されることによる患者側の不利益につながる.目的.当院で経験した気管支鏡の破損について検討し,その原因について探求し,今後の予防策や注意点に関して検討する.方法.2015年1月から2017年11月において当科で気管支鏡検査を施行した246例のうち,気管支鏡修理状況について,気管支鏡の種類や破損原因,修理費などについて検討した.結果.246例中3例(4本)の破損を認め,破損率は1.2%であった.気管内レーザー焼灼術による破損の1例(2本)は,吸引鉗子口の先端の熱損傷による破損であった.生検による破損の1例は湾曲部の鉗子操作によるものであり,超音波気管支鏡の破損の1例は,穿刺針による湾曲部の損傷によるものであった.結論.全例が手技的な要因で発生しており,機器の構造の理解不足や手技の不安定さが原因であった.気管支鏡破損は,経済面や安全面,時間的損失に影響を及ぼす.破損を起こさないためには,手技の向上や気管支鏡構造の理解が必要である.我々が取り組む方策は,気管支鏡内部構造の特性の理解,安定した手技の取得に至る講習,教育を常に意識して実行することである.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.43.2_91