Duchenne型筋ジストロフィー患者における気管切開後の気管右鎖骨下動脈瘻の1例

背景.気管切開後の気管血管瘻は稀だが重篤な合併症であり,迅速な対応が非常に重要である.症例.Duchenne型筋ジストロフィーの23歳男性.蘇生後脳症による呼吸不全のため気管切開を行った19日後に,気管からの出血を認めた.気管切開チューブのカフを過膨張させ,用手圧迫により止血を得た.翌日の造影CTにてカフ近傍に気管右鎖骨下動脈瘻を認めた.CT室からの移動時に大量出血を来し,気管切開孔周囲の用手圧迫および輸血を行いながら右鎖骨下動脈内に血管内ステントを留置し,止血を得た.本症例では筋ジストロフィーに伴う胸郭変形が瘻孔形成の一因と考えられた.接触による出血リスクを軽減するために気管形状に合わせて特...

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Published in気管支学 Vol. 42; no. 1; pp. 32 - 36
Main Authors 藤永, 卓司, 池田, 政樹, 村田, 祥武, 松尾, 仁司, 西尾, 斉, 萩原, 清彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.01.2020
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.42.1_32

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Summary:背景.気管切開後の気管血管瘻は稀だが重篤な合併症であり,迅速な対応が非常に重要である.症例.Duchenne型筋ジストロフィーの23歳男性.蘇生後脳症による呼吸不全のため気管切開を行った19日後に,気管からの出血を認めた.気管切開チューブのカフを過膨張させ,用手圧迫により止血を得た.翌日の造影CTにてカフ近傍に気管右鎖骨下動脈瘻を認めた.CT室からの移動時に大量出血を来し,気管切開孔周囲の用手圧迫および輸血を行いながら右鎖骨下動脈内に血管内ステントを留置し,止血を得た.本症例では筋ジストロフィーに伴う胸郭変形が瘻孔形成の一因と考えられた.接触による出血リスクを軽減するために気管形状に合わせて特注したチューブを留置し,1年間合併症なく経過したが,1年後に出血を来し,翌日他界した.結語.筋ジストロフィー患者における気管切開後の気管鎖骨下動脈瘻に対して,血管内ステント留置および特注の気管切開チューブによって対処した1例を経験した.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.42.1_32