ABO血液型不適合腎移植におけるアルブミン製剤の必要性
当院では輸血療法委員会や医師・看護師教育活動を通してアルブミン製剤適正使用を推進しているが,適正使用基準に到達しない状況が続いている.今回,アルブミン製剤の使用実態を使用場所別,使用目的別に検討した結果,年間使用量の約12%は腎移植症例における血漿交換目的の使用であった.ABO不適合移植では術前に2から4回程度の血漿交換により抗A,抗B抗体価を低下させることが必要であり,またABO適合・不適合に拘わらず術後抗体関連拒絶反応を来たした場合には抗ドナー抗体の除去目的でアルブミンを用いた血漿交換は必須である.今回の検討でアルブミン製剤の平均使用量はABO血液型不適合腎移植で有意に多いことが明らかとな...
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Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 60; no. 4; pp. 521 - 526 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
2014
日本輸血・細胞治療学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1881-3011 1883-0625 |
DOI | 10.3925/jjtc.60.521 |
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Summary: | 当院では輸血療法委員会や医師・看護師教育活動を通してアルブミン製剤適正使用を推進しているが,適正使用基準に到達しない状況が続いている.今回,アルブミン製剤の使用実態を使用場所別,使用目的別に検討した結果,年間使用量の約12%は腎移植症例における血漿交換目的の使用であった.ABO不適合移植では術前に2から4回程度の血漿交換により抗A,抗B抗体価を低下させることが必要であり,またABO適合・不適合に拘わらず術後抗体関連拒絶反応を来たした場合には抗ドナー抗体の除去目的でアルブミンを用いた血漿交換は必須である.今回の検討でアルブミン製剤の平均使用量はABO血液型不適合腎移植で有意に多いことが明らかとなった.慢性腎不全患者の根治療法となりうる腎移植におけるドナー不足は深刻であり,ABO血液型不適合腎移植の長期生着率は適合腎移植とほぼ同等の成績を得ていることから,今後も症例数の増加が見込まれる.この状況下で腎移植実施施設での輸血医療を適正に評価するために腎移植前後の血漿交換時におけるアルブミン製剤の使用は輸血管理料の算定基準の中で配慮することが望まれる.今後多施設共同で腎移植におけるアルブミン使用の実態調査を実施し,適正使用基準を新たに設定すべきと考えられた. |
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ISSN: | 1881-3011 1883-0625 |
DOI: | 10.3925/jjtc.60.521 |