肺結核に合併した難治性気胸に対する胸郭成形術後の遷延性肺瘻に気管支充填術が著効した1例

背景.Endobronchial Watanabe Spigot(EWS)による気管支充填術の報告は近年散見されるが,肺結核に合併した難治性気胸に対する報告は多くない.症例.60歳代,男性.全身倦怠感を主訴に前医を受診した.肺結核,左気胸の診断で当院へ紹介され,結核に対する4剤併用による化学療法および胸腔ドレナージを行った.治療開始5か月後も持続性気漏が遷延し,難治性気胸の診断で胸郭成形術を施行したが,第7病日に気漏が再燃した.体表からの瘻孔部位付近の圧迫により気漏が停止しため圧迫と高陰圧による胸腔ドレナージを3か月間継続したが軽快せず,瘻孔の責任気管支にEWSを充填した.直後から気漏は停止し...

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Published in気管支学 Vol. 42; no. 1; pp. 43 - 47
Main Authors 加藤, 博久, 開田, 恵理奈
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.01.2020
日本呼吸器内視鏡学会
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Summary:背景.Endobronchial Watanabe Spigot(EWS)による気管支充填術の報告は近年散見されるが,肺結核に合併した難治性気胸に対する報告は多くない.症例.60歳代,男性.全身倦怠感を主訴に前医を受診した.肺結核,左気胸の診断で当院へ紹介され,結核に対する4剤併用による化学療法および胸腔ドレナージを行った.治療開始5か月後も持続性気漏が遷延し,難治性気胸の診断で胸郭成形術を施行したが,第7病日に気漏が再燃した.体表からの瘻孔部位付近の圧迫により気漏が停止しため圧迫と高陰圧による胸腔ドレナージを3か月間継続したが軽快せず,瘻孔の責任気管支にEWSを充填した.直後から気漏は停止し,気管支充填術後23病日に胸腔ドレーンを抜去でき退院となった.処置後8か月が経過するが,気胸の再燃を認めていない.結語.肺結核に合併した難治性気胸に対し,EWSを用いた気管支充填術が有効であった.自験例はEWSの良い適応と考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.42.1_43