造血幹細胞移植における血小板輸血トリガー値の検討

造血幹細胞移植(SCT)に伴う血小板減少に対し,血小板の予防的輸血が行われる.当院で2008年から2015年の間に自家および同種造血幹細胞移植を施行した患者を対象とし,移植後の血小板輸血トリガー値(PT)を後方視的に検討した.同種移植を施行したAML,MDS,CML,ALLの患者を対象にPTを2万/μlとした患者をA1群,1~1.5万/μlとした患者をA2群とし,移植日から100日目までの期間を観察した.また,同様に,自家移植を施行したML,MMの患者を対象に,B1群,B2群とし,移植日から30日目までの期間を観察した.A1群とA2群,B1群とB2群で,患者背景や出血頻度に差を認めず,血小板輸...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 63; no. 4; pp. 599 - 606
Main Authors 北林, 彩, 谷口, 亜希子, 東, 由季奈, 松本, 文実, 松岡, 徳登, 原池, 純代, 川野, 友彰, 山本, 三鈴, 直川, 匡晴, 岡, 智子, 白井, 奈緒
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 31.08.2017
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.63.599

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Summary:造血幹細胞移植(SCT)に伴う血小板減少に対し,血小板の予防的輸血が行われる.当院で2008年から2015年の間に自家および同種造血幹細胞移植を施行した患者を対象とし,移植後の血小板輸血トリガー値(PT)を後方視的に検討した.同種移植を施行したAML,MDS,CML,ALLの患者を対象にPTを2万/μlとした患者をA1群,1~1.5万/μlとした患者をA2群とし,移植日から100日目までの期間を観察した.また,同様に,自家移植を施行したML,MMの患者を対象に,B1群,B2群とし,移植日から30日目までの期間を観察した.A1群とA2群,B1群とB2群で,患者背景や出血頻度に差を認めず,血小板輸血の平均輸血単位数は,A2群およびB2群で有意に低かった.また血小板輸血に関連する因子として,同種移植では移植時の疾患状態,発熱,grade 2~4の急性GVHDが,自家移植では,移植時の疾患状態,発熱,生着までの日数が抽出された.SCT患者を血小板輸血に関連する因子により低,中等度,高リスク患者に層別化し,リスクに応じた予防的,および治療的血小板輸血を行うことで適正な輸血が可能になると考えられる.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.63.599