手術室との連携の向上を目的とした画像モニタリングと輸血情報システム

本研究では,従来の音声情報に加え,手術室画像モニタリングと輸血情報システムを活用し,該当手術の,出血の程度,使用中の血液製剤の種類,輸血量,輸血速度,さらには,手術室内の医療スタッフ数と業種,製剤の保管状況や取り扱い等の情報を,リアルタイムに把握した.そして,手術室のニーズを迅速に察知し,充分量の製剤の準備,迅速な供給,部門を超えた輸血に関連する業務の補助を行い,製剤の準備状況などの情報を提供した.これらは,フレキシブルかつ臨床側とより一体化した形で進めた. 本システムの導入による効果を,赤血球濃厚液(RCC)の廃棄件数,廃棄量と廃棄率および術前請求量,初回出庫量,総出庫量,使用量,返納量,イ...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 59; no. 3; pp. 476 - 481
Main Authors 山田, 千亜希, 永井, 聖也, 竹下, 明裕, 牧, 明日加, 渡邊, 弘子, 藤原, 晴美, 芝田, 大樹, 金子, 誠, 古牧, 宏啓, 石塚, 恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2013
日本輸血・細胞治療学会
Subjects
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.59.476

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Summary:本研究では,従来の音声情報に加え,手術室画像モニタリングと輸血情報システムを活用し,該当手術の,出血の程度,使用中の血液製剤の種類,輸血量,輸血速度,さらには,手術室内の医療スタッフ数と業種,製剤の保管状況や取り扱い等の情報を,リアルタイムに把握した.そして,手術室のニーズを迅速に察知し,充分量の製剤の準備,迅速な供給,部門を超えた輸血に関連する業務の補助を行い,製剤の準備状況などの情報を提供した.これらは,フレキシブルかつ臨床側とより一体化した形で進めた. 本システムの導入による効果を,赤血球濃厚液(RCC)の廃棄件数,廃棄量と廃棄率および術前請求量,初回出庫量,総出庫量,使用量,返納量,インシデント件数を,システム導入前後2年間で比較し評価した.RCCの廃棄件数は15件から2件(p=0.002),廃棄量は51単位から3単位(p<0.001)と有意に減少し,廃棄率は1.02%から0.09%に減少した.RCCを10単位以上使用した心臓血管手術におけるRCCの初回出庫量(平均±SD)は7.5±2.2単位から6.7±2.4単位と減少した(p=0.020).また,システム導入後2年間に製剤の保存や取扱いに関するインシデントは発生していない.本システムの活用により,提供可能な輸血業務は広がり活性化され,臨床側との密接な連携が構築された.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.59.476