猪瀬型肝性脳症に対してB-RTOが著効した1例
今回我々は先天性胃─腎静脈短絡症による猪瀬型肝性脳症にB-RTOが著効した症例を経験したので報告する。症例は意識障害を繰り返す80歳女性。血清アンモニア値が236νg/dlと上昇し,肝性脳症と診断したが,腹部US,CTおよび腹部血管造影検査では肝硬変や門脈の狭窄は認められず,胃─腎静脈シャントを認めた。以上より,肝硬変や門脈塞栓によるシャントではなく,先天性門脈大循環シャントによる猪瀬型肝性脳症であると診断した。B-RTO施行後,シャント血流が消失し,アンモニア値は正常域に戻り,意識障害は改善した。先天的胃─腎静脈短絡症の治療には外科的シャント結紮術が施行されるのが一般的であるが,B-RTOは...
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Published in | 日本農村医学会雑誌 Vol. 65; no. 2; pp. 237 - 243 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
31.07.2016
日本農村医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0468-2513 1349-7421 |
DOI | 10.2185/jjrm.65.237 |
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Summary: | 今回我々は先天性胃─腎静脈短絡症による猪瀬型肝性脳症にB-RTOが著効した症例を経験したので報告する。症例は意識障害を繰り返す80歳女性。血清アンモニア値が236νg/dlと上昇し,肝性脳症と診断したが,腹部US,CTおよび腹部血管造影検査では肝硬変や門脈の狭窄は認められず,胃─腎静脈シャントを認めた。以上より,肝硬変や門脈塞栓によるシャントではなく,先天性門脈大循環シャントによる猪瀬型肝性脳症であると診断した。B-RTO施行後,シャント血流が消失し,アンモニア値は正常域に戻り,意識障害は改善した。先天的胃─腎静脈短絡症の治療には外科的シャント結紮術が施行されるのが一般的であるが,B-RTOは侵襲が少なく有効な治療法と思われた。 |
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ISSN: | 0468-2513 1349-7421 |
DOI: | 10.2185/jjrm.65.237 |