心臓血管外科手術の同種血削減に対する回収式自己血輸血の有効性

心臓血管外科手術における自己血回収装置を用いた術中回収式自己血輸血(回収式)の同種血削減の有効性を検討した.対象は2012年4月1日から2015年3月31日までの3年間の心臓血管外科手術1,075例.回収式は77.3%(831例)で実施され,術式別では12術式中の11の回収式実施率の平均値は98.8%であった.出血量別では,出血量が増加するほど回収式実施率は高値となり,出血量4,000ml以上では100.0%となった.返血量は出血量に応じて増加するが,回収率は低値となる傾向がみられ,全体の回収率は52.1%であった.術式別の回収率に大きな差は認められなかった.出血量と返血量の相関関係はr=0....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 63; no. 5; pp. 674 - 682
Main Authors 秋山, 友子, 岸野, 光司, 大槻, 郁子, 武井, 生成, 進藤, 聖子, 尾島, 佐恵子, 小林, 美佳, 小幡, 隆, 菅野, 直子, 中木, 陽子, 三澤, 吉雄, 室井, 一男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2017
日本輸血・細胞治療学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:心臓血管外科手術における自己血回収装置を用いた術中回収式自己血輸血(回収式)の同種血削減の有効性を検討した.対象は2012年4月1日から2015年3月31日までの3年間の心臓血管外科手術1,075例.回収式は77.3%(831例)で実施され,術式別では12術式中の11の回収式実施率の平均値は98.8%であった.出血量別では,出血量が増加するほど回収式実施率は高値となり,出血量4,000ml以上では100.0%となった.返血量は出血量に応じて増加するが,回収率は低値となる傾向がみられ,全体の回収率は52.1%であった.術式別の回収率に大きな差は認められなかった.出血量と返血量の相関関係はr=0.9であった.回収式実施群におけるRBC,FFP,PCの使用量は出血量に比例して高くなる傾向を示した.FFPとALBの使用量は,回収式実施の有無による有意差は認められなかった.RBC同種血回避率は,回収式実施手術全体では15.6%であった.3年間の回収式の返血量の合計は1,302,135mlであり,140mlを1Uに換算すると3年間で約9,301UのRBC同種血が削減されたことになる.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.63.674